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銀の馬車道 鉱石の道

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兵庫県立大学環境人間学部教授、宇高雄志さん=姫路市文化センター
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兵庫県立大学環境人間学部教授、宇高雄志さん=姫路市文化センター

 播磨学特別講座(神戸新聞社後援)第10講が7日、姫路市西延末の市文化センターであった。兵庫県立大学環境人間学部の宇高雄志教授が「建造物からみた銀の馬車道」と題して語った。要旨は次の通り。

 銀の馬車道は何も残ってないと思ってる人が多いのではないか。「何も残ってない」ことが持つ意味とは何だろうか。

 馬車道に採用されたマカダム式舗装は、当時世界の道路のほとんどに使われていた。舗装技術は経済、スピード、衛生環境に関わる大事なことで、マカダム式のマックアダムを含む近代道路の建設技術のパイオニアたちは地盤の高さ・舗装厚・建材に注目した。

 もっとも単純かつ廉価な技術を見つけたのがマックアダムだった。マカダム式はあっという間に世界に広がり、アメリカでは国道の標準仕様に指定された。

 文献や断面図を見ると、銀の馬車道はすべてがマカダム式ではなく、その場に応じて臨機応変に造ったのではと考えられる。3年で50キロという工期や経済性を見ればマックアダムの思想と同じだが、全線がそうだったかは疑問が残る。

 道を遺産として生かすのは、広さや多くの関係者との合意形成の必要性からとても難しい。日本遺産などの認定を見ると、ストーリーや価値観の表現が大切だと分かる。「何も残ってない」といわれるが、銀の馬車道は生き続けており、現在の道路とほとんど重なっている。マカダム式に注目していけばおもしろいのではと思う。(まとめ・春元 唯)

2019/12/8
 

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