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銀の馬車道 鉱石の道

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 但馬勤務になって半年。時間を見つけては南但馬の鉱山跡を巡っている。日本初の官営鉱山として先進技術が注ぎ込まれた生野鉱山(朝来市)や、日本一のスズ鉱山として栄えた明延(あけのべ)鉱山(養父市)など、明治から昭和にかけてものづくり大国の礎を築いた場所をしっかり見たいと思ったからだ。

 既に閉山しているが、この季節、さまざまな催しがあるのも鉱山巡りの楽しみになっている。

 10月初旬、生野鉱山から明延鉱山へ車を走らせた。途中、巨大なピラミッド状の構造物が目に飛び込んできた。神子畑(みこばた)選鉱場跡(朝来市)だ。建物は撤去され基礎だけになっているが、「東洋一」の威容が伝わる。秋の陽光に照らされ、神殿のように見えた。

 この日は明延で「一円電車まつり」が開かれていた。かつて従業員らを運んだ大きなおもちゃのような車両に乗り、ガイドの案内で坑道を見学。生野の観光坑道では電動人形を見ながら採掘方法の各工程を学べるが、明延では採掘当時のリアルな坑道が魅力だ。

 近隣には、日本有数の金山だった中瀬鉱山(養父市)もある。坑道には入れないが、9月の「中瀬金山まつり」では、自然金の展示や、鉱山ゆかりの施設を巡るスタンプラリーを楽しんだ。

 途中、お菓子やお茶をいただき、住民主体の手作りイベントの温かさを感じた。

 鉱山の町を歩いて気付くのは、地域資産を誇りに思い、それを活用してまちをもり立てていこうとする住民の頑張りである。応援したい、と強く思った。

 いま姫路市、養父市、朝来市、神河町、市川町、福崎町の各市町が官民挙げて鉱石輸送用の産業道路「銀の馬車道」(生野鉱山-飾磨津)と、「鉱石の道」(中瀬・明延・神小畑の3鉱山-生野鉱山)の日本遺産認定に向け、スクラムを組んでいる。いずれも日本の近代化を支えた「道」だ。

 神戸新聞はこの取り組みを応援しようと、但馬版と姫路・西播版で関連記事に力を入れている。「銀の馬車道 鉱石の道 日本遺産へ」というタイトルロゴを付けた記事を展開しているほか、6市町の文化財担当者による寄稿文を随時掲載している。

 私自身、紙面から新たな気付きを得ることも多い。今度は生野から飾磨まで「銀の馬車道」を巡る予定だ。要所要所は自分の足で歩いて回ろうと思っている。

2016/11/7
 

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