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銀の馬車道 鉱石の道

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早速、設置された日本遺産認定を祝う横断幕=朝来市役所
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早速、設置された日本遺産認定を祝う横断幕=朝来市役所
一円電車の車両。毎年、体験乗車会でにぎわう=2016年10月、養父市大屋町明延
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一円電車の車両。毎年、体験乗車会でにぎわう=2016年10月、養父市大屋町明延

 「近代遺産としての鉱業への着目は興味深く、交通路を軸にストーリーを組むことで空間的な広がりにも結びついている」-。日本遺産を審査する文化庁の委員会で、高く評価された「銀の馬車道 鉱石の道」の物語。各鉱山の遺構や鉱山町を擁する兵庫県朝来、養父市では喜びの声が広がり、朝来市役所では早速、認定を祝う横断幕が掲げられた。

 【生野】

 朝来市生野町では、鉱山が栄えた昭和中期の町並みを再現する「銀谷祭り」や通り沿いの家々にひな人形を並べる「銀谷のひな祭り」など、鉱山町独特の景観を生かした取り組みを15年ほど前から続けてきた。

 同町観光協会の阿野保司副会長(72)は「日本遺産はまちの大きな『冠』になる。国内外から多くの観光客が訪れることを期待したい」と歓迎。「これからが大切。但馬・播磨をつなぐラインをより強固なものにし、まちづくりの方向性をはっきりさせていきたい」と意気込む。

 【神子畑】

 神子畑選鉱場跡や神子畑鋳鉄橋が残る朝来市佐囊の神子畑区。「神子畑鉱石の道推進協議会」の山内〓治郎会長(72)は、日本遺産認定を「一日千秋の思いで待っていた」。かつて「東洋一」とうたわれた選鉱場は2004年に解体されたが、11年に地元有志が同協議会を結成。ユーモアを交えた丁寧なガイドで観光客をもてなしている。

 認定を受け、市などは立ち入り禁止の選鉱場跡の特別公開を計画。山内さんは「神子畑がより注目されるきっかけになる。近隣地区とも一緒に盛り上がっていきたい」と話す。

 【明延】

 日本最大のスズ鉱山だった明延鉱山は1987年に閉山。直後から坑道などを生かしたまちおこしが始まり、2007年からは閉山前に運賃1円で鉱山を走っていた「一円電車」を特設線路で走らせている。けん引用機関車の管理や運転、坑道ガイドは鉱山労働者のOBや地元住民が務める。

 明延地区の小林史朗区長(58)は「地道な活動を続けてきたが、『頑張れ』と背中を押してもらった気持ち」と喜ぶ。現在、市などと一円電車を全長1キロの線路で走らせる計画を立てており「実現へ弾みがつく」と歓迎する。

 【中瀬】

 中瀬地区では、15年前から住民グループ「中瀬金山会」などが鉱山の研究や情報発信を続け、最近は「中瀬金山まつり」などのイベント開催で活性化に努めてきた。村上正会長(63)は「中瀬鉱山のことを後世に伝えようと一生懸命やってきただけに、うれしい」。

 両鉱山とも認定で知名度が高まる半面、観光客の受け入れ体制の構築などが急務。若者の雇用創出などに向け、官民で連携の道を模索している。(長谷部崇、那谷享平)

※〓は「隆」の異体字「生」の上に「一」

2017/4/29
 

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