
撮影・木皿泉
少し前のことである。夜になると家の前の道路が通行止めになり、大きな重機が持ち込まれ、人々が黙々と働いているのに気づいた。アスファルトを剥がしているらしい。剥がす場所は、きっちり決められているらしく、それ専用の作業車が慎重に線に沿って動いてゆくと、長方形の土があらわれた。私は、そうか、道路の下は土なんだと、当たり前のことに気づいてちょっと感動する。
そういえば、このあたりは昔、競馬場があったと聞いたことがある。車がせわしなく走るこの広い道路に、かつて馬が駆けていたのだと思うと不思議な気持ちになる。
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