エッセー・評論

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 瀕死(ひんし)の状態であるのに、目に見えないものがたくさんある。ふつうに街を歩いている人が、もしかしたらギリギリの状態であるかもしれないのに、私たちはそれを見逃してしまう。それが、かなり親しい人であったとしても、そうかもしれない。

 エレベーターに乗っていると、大量の荷物を抱えた宅配便の人が入ってきた。私は、1階で大丈夫ですか、と聞く。つまり、他の階で降りるのならボタン押してあげますよ、という意味である。1階で大丈夫です、と宅配のお兄さんが答える。いつからだろう、こんな時に「大丈夫ですか」などと聞くようになったのは。ちょっと前までは、そんな会話を聞くと、なんだか大げさだなと思ったりしたが、今は「大丈夫ですか」と言ったり言われたりするのを聞くと、ちょっとほっとした気持ちになる。

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2018/3/4
 

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