エッセー・評論

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 昔、合コンというのだろうか、お見合いパーティーみたいなのに参加したことがある。当時としては珍しいスローフードの会席というもので、そのお店は農園もやっているので、取れたての野菜を食べさせるというのが売りだった。

 どういう流れだったか忘れたが、1人ずつ、この店の感想を言わされることになった。素朴で優しい味だとか、やっぱり有機農法は安心できるとか、そんなことばかりを、みんなは言っていた。私の番がきた。ここの農業のやり方で、はたして世界中の人が食っていけるのだろうか? 結局、安全な食べ物は金持ちしか食べられないのではないか? そうであるなら、私はそれがたとえ毒であろうと、大勢の人たちと一緒のものを食べてゆきたい、というようなことを言った。言っている途中から、これはヤバイと思ったが、もう遅い。気がつけば、みんなドン引きだった。意見をと言われたので、つい自分の考えを言ってしまったわけだが、今なら分かる。そんなことを言いだしたのは、みんなの意見をリサーチしたかったからではない。ただ、話題が途切れてしまったので、この店の話で盛り上げようとしただけだ。私は真に受けてしまう人間であるらしい。

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2014/9/16
 

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