
撮影・木皿泉
アンティークショップでベージュ色のバッグを見つけた。1960年代のものだと店員は言う。そう言えば、なかなか凝ったつくりで、今はないような大胆なデザインだ。裏側にシミがあるからか、思ったより安い。年代物は、いったん逃すともう出会えないかもしれないということもあって、必要もないのについ買ってしまった。
家に帰ってよく見ると、シミは思った以上に大きかった。気になり出すと、もうそこにしか目がゆかない。しかたがないので、家にあったレースでできた蝶々(ちょうちょ)や花を布用接着剤でアップリケのように貼りつけてみる。元々のデザインが大胆なので、そんなものかと思う。ちょっと得をしたような気分である。
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