エッセー・評論

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 何かのCMだったと思う。「容量は無限大」とテレビから聞こえてきて、それって本当にいいことなのかと考え込んでしまった。

 無限大にためこんだ中から、必要なものを取り出すという作業。そのことを考えると、めまいがする。そんな中から、今の自分にぴったりのものを、はたして探し出せるのだろうか。検索をかければ簡単じゃないですか、と若い人に言われそうだが、そうすると、検索しやすいものしか上がってこないんじゃないかと思ってしまう。たとえば、膨大にある書籍の中から、自分にぴったりの本を探したいとき、何かのランキングを参考にしたり、雑誌の書評やネットのプレビュー、いいねの数で判断したりするしかないのではないか。無限大にある、ということは選び放題というように聞こえるが、実は数が多すぎて選べないということではないか。結局、その分野に詳しい人に何パターンか分類してもらい、その中から選んでいるだけのような気がする。もしかすると、無限大は、ちっとも豊かではないんじゃないか、と思ったのである。

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2016/3/6
 

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