エッセー・評論

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撮影・木皿泉

撮影・木皿泉

 子供のころ、私はすき焼きが嫌いだった。でも、食べおわった後に入れるご飯は好きだった。牛肉の脂がとけた甘辛い汁を、ご飯粒が吸い取って、それを頬張ると何ともいえず幸せな気持ちになった。最後のシメが好きな人は多い。これがあるから鍋を食べるのだという人もいる。

 OLのころ、同じ課の人たちと連れ立って、よく飲みに連れて行ってもらった。最初はすし屋で、その後、バーやらスナックを何軒もはしごする。そして最後は必ずラーメンだった。会社の接待費でそんなことをしていたわけで、今考えるとむちゃくちゃな話である。大阪のミナミで遊んだときはラーメンだったが、キタの新地のシメはケーキだった。深夜の喫茶店でオッサンたちと私はケーキをガシガシ食べた。あれは何かの儀式のようだったなと今となったら思う。

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2017/4/2
 

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