
撮影・木皿泉(画像の一部を加工しています)
電車に乗っていると、2人のおばさんが何やらコソコソ話している。「ほら、あの人」と言うと、もう1人が重々しくうなずく。2人は新興宗教の集まりの帰りらしく、そこで何を教えられたのか知らないが、乗客を指して「な、ついてるやろ」「うん、ついてる」などと、2人だけにしかわからない話をしている。やがて、何かの魔よけなのだろうか、宙に向かって手先を振りはじめた。2人は大まじめだった。
目に見えなくても、あると思えばあるのだろう。近所の神社の鳥居の前は、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(ゴー)」が配信された日から、突然多くの人が集まる場所になった。ほとんどがしゃべらず、しゃがんだり、何かによりかかったり、あるいは立ったまま、不自然に首を曲げてスマホに集中しているのは、ゲームをやらない者から見ると異様な風景である。
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