
撮影・木皿泉
昔、父がテレビで昼の情報番組を見ていて突然キレた。それは健康に関するコーナーで、ココアがいいとか、オリーブオイルが効くとか、日替わりで紹介するもので、「テレビの言うことを聞いていると、ありとあらゆるものを食べなければならないじゃないか」と司会者を罵倒した。その司会者が悪いわけではない。毎日、新しい情報を発信せねばならないというテレビのあり方に無理があるのである。
定年になって時間ができてから見るせいか、そのころの男の人は、テレビに慣れていなかったような気がする。ダンナの父親は、昔よくやっていた矢追純一さんの宇宙人の番組を目の当たりにして、「これ、ほんまか?」と青い顔で聞いたそうである。遅くに家に帰って、テレビはニュースとスポーツだけという人にとって、宇宙人を検証するバラエティー番組は腰を抜かすほどのものであったらしい。
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