
撮影・木皿泉
この連載を始めて7年目である。ここで書いてきたエッセーをまとめた本は3冊になり、こんなに長く続けるとは私自身思ってもみなかった。やめてくれ、と言われない限り、なかなかこちらからやめますとは言いにくいものである。一度だけ、私が撮った写真って必要なんでしょうか、と担当の人に言ったことがある。「まわりの女の子たちは面白いって言ってますよ」と言われると、写真のネタ探しが面倒なんだよなと思っていたのに、女子に褒められたオジサンのようにちょっとうれしい気持ちになってしまうから不思議だ。
ドラマを書く仕事をしていて考えるのは、人は何を見たいのかということだ。ストーリーだと思うかもしれないけれど、実はそうじゃないと私は思っている。見たいのは、人間のリアクションなんじゃないだろうか。バラエティー番組で追い詰められた芸人さんの姿に思わず笑ってしまう。ドラマも同じだと思う。役者がこの状況でどんな表情をするのか、もしかしたら見たいのはそれだけかもしれない。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。