
撮影・木皿泉
その人に最初に会ったとき、風のような人だなと思った。いつも忙しく、走り抜けているように見えたからだ。仕事をする女性に出会うと、有益になるような人を紹介してくれて、仕事の幅が広がるようにとりはからってくれた。
脚本家として駆け出しの私も、ラジオ局を紹介してもらい、そこでレギュラーの仕事をもらった。たとえ少額でも、定期的に収入があるのはありがたかった。彼女は、人と人を会わせてしまうと、さっさとどこかへ消えてゆく。そのことに恩義を感じる必要はない、と言わんばかりだった。そのあり方が、とても気持ち良かった。
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