今年9月に神戸市中央区の乙仲通でTシャツ展をした。
新型コロナウイルスのためにギャラリーが長く休むことになっていたり、Tシャツを制作しているところも仕事がなかったり、ボク自身、展覧会やイベントが中止になったりしていた。だから、ギャラリーとTシャツ屋さんとボクが力を合わせて、Tシャツ展をして、利益を三等分してガンバロウ!と「WAKKUN(ワックン)のTシャツ展」と題した作品展をした。
その時、思いがけないプレゼントがあった。
1歳半ぐらいの男のお子さんを連れた女性から「ワックンさんですね?」と声かけをしていただいた。
彼女はボクに会いに来た理由を話してくださった。
「実は私、この子を助産院で産んだのです。そして、その助産院のお部屋にワックンの絵が飾られていて、そこに、あなたの画集とか絵本が置いてあって、読んでいるうちに私はすっかり、あなたのファンになったのです」
そして彼女は続けて「事後承諾になるのですが、この私の子どもにワックンの下のお名前、克己の『克』を一文字、いただいたのです」と話されました。
それを聞いたボクもギャラリーの人もビックリ! そして心からうれしくなって。
「あっ、こちらこそ! ボクの名前の一文字を、お子さんに付けていただいたなんて、本当にうれしいです。ありがとうございます」と赤い顔をして礼をのべました。
9月というのに、そこにいた、みんなの心の中に春風がさーっと吹きぬけた瞬間でした。
(涌嶋克己、イラストも)
【わくしま・かつみ】1950年神戸市長田区生まれ。画家、イラストレーター、絵本作家。86年から個展やグループ展を開催。WAKKUN(わっくん)の愛称で知られる。同区在住。
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