日々小論

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 働き方の多様化が進み、「労働者」って誰のことだろうとつくづく思う。

 パンを売っている人がいたとしよう。製パン会社の正社員なのか、パートなのか。製パン会社への派遣社員かもしれないし、製パン会社から委託されている可能性だってある。自分でパンを製造販売している個人事業主や、バイクで配達するギグワーカーかもしれない。

 働きすぎて倒れたとしても労災補償法上の労働者なら保護されるが、法律上、労働者に当たらない個人事業主は保護されない可能性が高い。また働き方によって、雇用保険や公的年金といった社会保障の差も大きい。

 国は多様な働き方を促進する。「新しい資本主義実行計画」ではリスキリング(学び直し)支援や副業・兼業の奨励、自己都合退職の失業給付を迅速に支給することなどを盛り込み、転職の背中を押すようだ。雇用の流動化が成長を促すということらしい。

 実際、雇用の多様化、流動化は加速するだろう。「社員ゼロで1億円を生み出す最強の稼ぎ方」(明日香出版社)の著者、山本佳典さん=西宮市=は2千人以上のフリーランスの起業支援を行ってきたという。山本さん自身も大手銀行で勤務していたが、パワハラを受けて退職し20代で独立した。組織戦の企業に対し、「事業の種類に応じ、フリー同士でチームを組んで臨めばいい」といい、「チームランス」という形を提案する。

 戦後、労働組合が雇用を守り、終身雇用と年功序列賃金が企業活動を支えてきた側面はあるが、大きな潮流は避けられそうもない。多様化する働き方に応じ、働き手の健康や安全を守り、過重労働を予防する新たな仕組みが必要だ。

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