日々小論

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 東京都目黒区にある目黒川のほとりは、お気に入りの散歩&ランニングコースだ。東京に赴任して約1年。たびたび訪れては四季の移ろいを感じている。

 花見の名所として有名だが、私にとっては桜が盛りを過ぎた4月中旬~5月上旬がベストシーズン。赤や白、ピンクのツツジがそれはもう鮮やかで、新緑とのコントラストも美しい。

 先日、取材で知り合った同郷の70代女性、その孫の20代女性と3人で散策した。孫は昨春、「五月病」を理由に約2カ月で退職。この春、別の会社に就職が決まり、研修を経て5月から配属先へ赴任する。都内の実家を離れて初の1人暮らしを前に、少し不安そうだった。

 そこで、思わずぽつぽつと自分の昔話を。ツツジの中でも大輪の花を付けるのは「ヒラドツツジ」。原産は私の故郷、長崎県平戸市なんです、と-。

 縁もゆかりもなかった神戸で働き始めたばかりのころ。紙面で神戸市役所前にヒラドツツジがあると知り、何度か足を運んだ。寂しくなったり、落ち込んだりした日は、特に。見ごろはすぐ終わり、「また来年か」と残念に思ったが、気づけば神戸で何度も春を迎えていた。

 環境が変わる春、誰もが「五月病」になるリスクはある。国内では働く人の半数以上が経験済みという民間企業のデータもあり、欧米でも問題視されているという。

 専門家らは解消法の一つに散歩やジョギングを挙げる。見慣れない町でも、どこかに自分とつながるモノや人が隠れているかも。新天地で過ごす面々に、そんなエールを送りたい。

 ヒラドツツジは生命力が強く、全国各地で植えられているとか。彼女の赴任先でも咲いているといい。

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