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インタビューに答える武田英雄署長=東灘署
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インタビューに答える武田英雄署長=東灘署

 東灘区内の事件事故に対応する東灘署。ここ2、3年は新型コロナウイルスの感染の波によって街頭犯罪が増減しており、手口を巧妙に変えながらはびこる特殊詐欺の被害防止も目下の課題という。今年3月に就任した武田英雄署長(57)は「特殊詐欺の予兆電話(アポ電)を1件でも確認すれば署員が管内全域を重点警戒して回っている。署を挙げて目を光らせているので、ためらわずに相談してほしい」と呼び掛ける。(聞き手・井上太郎)

 -東灘区の治安は

 「東灘区の人口は西区、垂水区に次いで神戸市内で3番目の規模だが、世帯数でみると実は最も多い(21年10月1日時点)。家庭内のもめごとなど、110番の件数は結構多い」

 「刑法犯の認知件数は全国的に年々減少傾向。管内でも昨年1年間は843件で、前年から151件減った。ただ、これには新型コロナの影響もある。流行第6波がピークアウトし、今年3月にまん延防止等重点措置が解除されてからは明らかに人の動きが活発化した。比例するように、今年1~5月の刑法犯認知件数は前年同期比35件増の354件になった。街頭犯罪の『自転車盗』と『車上狙い』が増えており、注意が必要だ」

 -特殊詐欺も減らない

 「県内でも増加傾向にあるが、東灘区では今年1~5月に前年同期の2倍に当たる14件の被害を確認している。手口としては『サポート詐欺』が急増した。パソコンの画面に突如ウイルス感染の警告画面が表示され、コンビニなどで電子マネーを買って送金するよう指示される。また、古典的だが区役所の職員や警察官になりすまして電話をかけてくる詐欺も再び増えてきた」

 「被害防止と摘発には署を挙げて対応している。アポ電を1件でも確認すれは『ひょうご防犯ネット』でメールを配信して注意喚起し、署員が一斉に区内を警戒する。通報場所以外にも実際はあちこちでアポ電が入っている可能性が高いからだ。6月にはパトカー勤務員が、キャッシュカードをだまし取る目的で住宅街をうろついていた30代の男に職務質問し、詐欺未遂容疑で逮捕している」

 -以前にも東灘区で働いたことがある

 「東灘署での勤務は初めてだが、阪神・淡路大震災直後には東灘区の避難所を巡回した。当時は県警本部少年課の所属で、葺合署(中央区)、灘署(灘区)、東灘署管内を担当する神戸東部少年サポートセンターに勤めていた。それで、震災直後の1カ月ほどは東灘区の避難所などへ、防犯的な助言をしに回った」

 「街はがれきばかりで、自分が今どこに立っているのかも分からない景色だった。電気も食べ物もなくて困り果てている被災者の方々に自分が何かをできるわけではなく、ただ話を聞くことしかできなかった。この頃から、不安の除去や安心感の醸成のために一体何ができるのかということを常に考えるようになった」

 -防犯は専門分野

 「生活安全企画課にいたときに強盗被害が相次ぐコンビニや牛丼チェーンへの防犯指導をしたり、『緊急防犯対策制度』に基づいて学校や自治会と治安向上への取り組みを議論したりした経験から、企業を含めた『地域の目』が非常に大事だと考えている。署員には常々『東灘区を犯罪がしやすい地域にするな』と呼びかけている。地道な活動だが、警らで1軒1軒パトロールカードを投かんするのもその方法の一つ。普段のコミュニケーションの積み重ねがあるからこそ、貴重な情報も入ってくる」

 「東灘区は、都会の中でも地域のつながりが強くて温かいまちだと感じている。地域が目を光らせてくれる、それができるエリアでもあると思う。防犯だけでなく、交通事故防止も同じこと。どんどん住民の意見を聞き、要望を反映していきたい」

 たけだ・ひでお 明石市出身。1987年に兵庫県警採用。生活安全企画課管理官、姫路署副署長、三木署長を歴任し、2022年3月から現職。休日はランニングやサイクリングで体を動かしながら「危なそうな交差点とかをチェックしている」。剣道四段。最近の昼食は「餃子の王将」のテークアウトメニューがお気に入りという。

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)

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