タイムマシン仕様のデロリアンができるまでの詳しい経緯を、オーナーの津和敏夫さん(36)に聞いた。
-きっかけはプラモデル作りだったそうですね。
「僕が中学生の頃に作ったタイムマシンのプラモデルを息子にあげると喜んでくれたので、分冊百科『デアゴスティーニ』のデロリアンのプラモデルを一緒に作り始めたんです。ネット上でタイムマシンに改造されてる写真を見ると、段々うらやましくなって。でもこの高価なもの(約20万円)をいじるのはなあ…と悩んでいると、妻が『愛が試されるんじゃない?』と言ってくれ、決心がつきました」
「完成品をSNSで披露すると、海外のコミュニティーで絶賛されて。パーツが欲しいと言う友人に作って送ってあげたこともある。それがあったから、実車の改造時に『彼は信用できる』と、みんなが協力してくれた。今振り返れば欠かせない過程でしたね」
-でも、なぜそこから実車に?
「プラモデルの改造中にどうしても分からないところがあって、一度実車を見たくなった。岐阜県の中古車店にあることが分かったので、温泉旅行がてら家族で行ったら、これから車の展示場所が減るタイミングだったらしく『この車(デロリアン)だけは何とかはき出したい』と。で、一目ぼれなんですが、買います!と言うと、『じゃあここで君の車置いていって』となり。荷物を全部降ろしてマイカーを下取りに出し、温泉にたどり着くことなく、その足で電車で帰ってきました」
-なんと劇的な。さぞお高かったんでしょうね。
「差し引きで590万円ぐらい払いました。ところが古い車なんで、週1回乗る度に壊れました。英語の整備マニュアルを全部翻訳して、内部構造を理解するために模型まで作って、寝る間を惜しんであらゆる故障の対処を体得しました」
-当初からタイムマシンに改造するつもりだったんですか。
「いいえ、さすがに実車はノーマルで乗るつもりでした。でも、本物のデロリアンを買ったことをSNSで報告したら、海外のプラモ仲間が『もちろんやるよな?』というようなことを言ってきて(笑)」
-映画の主人公マーティみたいですね。「腰抜け」と言われたら、すぐかっとなる負けず嫌いの。
「あ、そうしとけば良かったかな(笑)。でも、挑発ではなくて『私は君を信じている』という感じの温かい言葉だったかと(笑)」
「最初に手に入れたパーツは次元転移装置でした。タイムトラベルの核となる機械。趣味で実物大を作るイギリス人を、プラモデル仲間が紹介してくれた。そういうつながりがないと、仮に見つけたってなかなか譲ってくれないですから」
「相変わらず車は故障しやすいので、専門店に“入院”させる何カ月かの間にパーツを集めて、車が戻ってきたらそれを取り付ける。その繰り返しでした」
-大変ですね…
「段々できていくのはすごく楽しかったんですが、実は改造中、ニュージーランド人の友達が1人、心筋梗塞で亡くなったんです。運転席と助手席の間にある『ゴールドボックス』を作ってくれた人で、後で知ったのですが、生前、僕のことをとても気に入ってくれていたみたいで。お葬式が終わった後、彼が設計しながら未完成のままのパーツがあることが分かって、みんながその設計データを基に形にして、彼の名前と彼へのメッセージを彫った。みんなこれを車に積もう、となって、もちろん僕も付けました。劇中車にこだわると、この刻印は本来ないんですが、思い入れがあるので」
-車検に合格するにはどんな壁がありましたか。
「主に外側の寸法が課題なので、後部の『フラックスバンド』や排気口の調整ですね。ボディーに穴を開けるのはさすがに勇気がいりましたが、運輸局に通って『ここからはアウト』というラインを常に確認しながら進めたので、パーツ集めに比べるとそこまで苦しんだ感覚はありません」
-タイムマシンはどんなときに乗るんですか。
「エンジンを温めるため週に2、3回は乗るようにしています。夫として父親として、家事もしないといけないので地元のスーパーで買い物をして帰ります。一度、昼下がりに店から駐車場に戻ったときは、フェンス越しに子どもたちが群がってこっちを見ていました。動物園にいるパンダの気持ちが少し分かったかもしれない。以来、学校の登下校時間は避けています」
-小道具もいろいろありますが。
「映画でおなじみの時計台の、時計を自作してガレージに付けています。大きさは映画のあるシーンを基に計算してはじき出して、原寸大にしています。ドクがデロリアンを車外から操作するのに使っていたリモコンや、マーティが乗る『ホバーボード』もあります」
-津和さんは映画好きなのか車好きなのか、一体どっちなんでしょう。
「車好き、ですかね。バック・トゥ・ザ・フューチャーは間違いなく一番大好きな映画ですが、他にたくさん映画を見るわけではないので。映画館にもあまり行った記憶がありません」
「たまに『作り方を教えてほしい』と頼まれることがありますが、『これは登山ではないですよと』と伝えるんです。というのは、頂上の景色を堪能してすぐ下山する遊びではなくて、その頂上で生き続けないといけない趣味なんです。車はよく壊れるし、貴重なパーツの予備も探し続けないといけない。とにかく維持が大変。パーツ作りの仲間もどんどん下山していくし、孤独で、僕だってあと何年ここにいられるだろうかとよく考えますから。自分が唯一だとか特別だとかは思ってなくて、遊ぶならとことん本気で遊ぼうとしてきた結果なので、これからもできる限り頑張っていきます」
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