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弁護士業務の傍ら、テニスで国体出場を決めた上原伊織さん。「ベスト8に入って兵庫に貢献を」と意気込む=神戸市中央区
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弁護士業務の傍ら、テニスで国体出場を決めた上原伊織さん。「ベスト8に入って兵庫に貢献を」と意気込む=神戸市中央区
胸には弁護士バッジ。裁判などに日々向き合う=大阪市北区(本人提供)
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胸には弁護士バッジ。裁判などに日々向き合う=大阪市北区(本人提供)

 10月2日に宇都宮市で始まる国民体育大会「いちご一会(いちえ)とちぎ国体」テニスの成年男子に、神戸市東灘区在住の弁護士、上原伊織さん(29)=朝日中央綜合法律事務所=が兵庫代表として出場する。全国制覇も経験したアスリートである一方、甲南大(神戸市東灘区)法科大学院に進んで1日12時間勉強し、司法試験に一発合格。現在プレーできるのは週末のみだが、多忙な仕事と競技を両立させながら「ベスト8に入って兵庫に貢献したい」と誓う。

 4歳から競技に親しみ、全国中学生選手権で甲南中(兵庫県芦屋市)の主力として団体2連覇に尽くした。甲南高(同)では全国高校選抜大会シングルスで4強入り。身長170センチと大柄ではないが、相手に的を絞らせない頭脳的な配球と粘り強さが持ち味だ。

 弁護士を志したのは甲南大3年の時。昔からプロ選手に憧れていたが「本当のトップでないと生活できないし、引退後の人生も長い。他に何か熱中できるものを」と考えた末、「日本で一番難しいといわれる司法試験」への挑戦を決めた。

 壁が高いほど燃えるのがアスリートの気質だ。「合格するまではテニスをしない」と心に決め、甲南大法科大学院の未修者コースへ。扱われる用語などが難しく「進む道を間違えたか…」とも思ったが、後には引けない。

 時に胃薬を飲みながら、競技で培った集中力で、大みそかも元日も1日12時間、机に向かった。同コースを標準の3年で終えられない人も多い中、無事修了。その数カ月後、試験に一発合格した。

  ◇

 2019年に弁護士登録をし、大阪市内の法律事務所に在籍する。相続や不動産など民事を中心に、裁判や書面作成、交渉などに追われる日々だが、仕事は平日に終わらせ、週末は母校でのテニス練習に充てる。

 3年ぶりに競技を再開した時には、手の皮は破れ、サーブを2度続けて失敗するダブルフォールトを4連発したことも。だが「楽しくやるだけでは充実感を得られない。真剣勝負をしたい」と奮起。少ない練習時間でも一球一球、神経を研ぎ澄ませてラケットを振り、プレーの質を高めた。

 今年6月には、国体の兵庫代表を決める選考会で1位になった。決勝では、国別対抗戦ジュニア・デビス杯の優勝メンバーだった末岡大和選手(トップラン)に8-4で勝利。続く国体近畿ブロック大会では、末岡選手とのペアで兵庫代表として団体戦に臨み、4位で本大会の出場権をつかんだ。

 仕事での理想像は、テレビドラマ「リーガル・ハイ」で俳優堺雅人さんが演じた弁護士という。「依頼者のために絶対に勝つ、最後まで諦めない、という精神に憧れる。スポーツ法務など、自分にしかできないことでテニス界に還元したい」と志は高い。

 選手としては、国体を最大の目標に据える。「土日しかプレーできない自分にとって、トップ選手と戦えるいい機会」。大学生以来の参加となる晴れ舞台で、今度は法曹界から旋風を起こす。(藤村有希子)

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