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インタビューに答える植松賢治区長=東灘区役所
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インタビューに答える植松賢治区長=東灘区役所
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インタビューに答える植松賢治区長=東灘区役所

 灘五郷の酒蔵、スイーツ、だんじり祭りといった地域資源に富み、阪神間モダニズムの中心、高級住宅地としても発展を遂げてきた神戸市東灘区。昨年4月に就任して2年目に入った植松賢治区長(59)は「ブランドを磨き、選び続けられる街にしたい。誰もが地域とつながれる場所、機会を作るためのサポートに力を入れていく」と語る。(聞き手・井上太郎)

 -東灘区は市内でも人口が多い。

 「2020年の国勢調査では人口が神戸市9区の中で西区、垂水区に次いで3番目。15年まで増えてきたのが微減に転じているが、15歳未満の割合でみると垂水区に次ぐ2番目。それだけ、働き盛りの若い家族が多いという指標でもある。大阪への通勤に便利という他力の部分もあるが、『子どもを育てるのにいい』との声もいただく。それはある意味ブランドなのかと」

 「一方で、酒蔵跡など南部に次々と高層マンションが建ち、保育ニーズや学校の児童生徒が急速に増えた時期があった頃に比べると、今はそれが収れんしていく段階にある」

 -今年の春は3年ぶりにだんじりが再開した。

 「コロナ禍が完全に収束しない中だったので不安もあったが、伝統の火が消えなかったことは本当に良かった。私自身も御影出身でそうだったが、子どものころに親と一緒にだんじりに参加して、そこから地域に入って縦と横のつながりができていく。こういうことは、都市部では珍しい」

 「地域と結びつき、文化を大切に受け継ぐノウハウをこの街は持っている。感染状況によるが、延期が続いている区制70周年記念のだんじりパレードを今年の秋こそできたらいい」

 -大学が多いのも特徴。

 「区内には六つの大学がある。連携協定やインターンシップを通じて、学生たちにもっと地域とつながる機会を提供しようと取り組んでいる。何もなければ家と大学の往復ばかりだろうし、コロナ禍では特にそうなりがち。せっかく東灘区に通ったり住んだりしてくれている間に、キャンパスを出て地域のことを知ってもらいたい。就職などでいったんは区外に出ても、またいずれこの街に戻って来るきっかけにもなる」

 -外国人人口が増えている。

 「カナディアンアカデミーや神戸ドイツ学院があるように、六甲アイランドでは従来から欧米系のコミュニティーが形成されてきた。駐在系の仕事で来た人が多く、ヴィッセル神戸や阪神タイガースでプレーする外国人選手もしかり」

 「その上で増えてきたのがインドやネパールなどからの技能実習生。東灘区内では深江第四工区の、特に食品工場で外国人雇用が増えている。あとは留学。例えば、六甲アイランドにある神戸国際大学が留学や国際交流を積極的に行っている」

 -共生に向けた課題は。

 「外国にルーツを持つ子どもたちも含め、日本語支援のニーズは間違いなく高まる。御影市場の『旨水館』内には昨年秋、公益財団法人神戸国際コミュニティセンターが『御影にほんごプラザ』を開いた。外国人にとって住みやすい街になることは、ひいては日本人にとっても住みやすい街づくりでもある。国際都市としての魅力を高めたい」

 -大きな開発事業の予定は。

 「それほど大きなものは控えていない。本年度で言えば、六甲アイランドの神戸ファッションプラザ内に5月、大型遊具『ふわふわドーム』を新設した。再開発は阪神・淡路大震災の復興で先行してやって来たので、今はスポット的に既存の施設の利便性を高めていく」

 うえまつ・けんじ 1985年に神戸市役所入庁。環境局担当部長や市長室国際部長をへて2021年4月から現職。米シアトルの神戸事務所で勤務していた06年~09年頃に太ったので始めたというランニングは今も日課。お気に入りのコースは潮風を感じられるマリンパーク。日本酒の利き酒師の資格を持つ。

     ◇

 神戸新聞NEXT「東灘区のページ」では、教育▽福祉▽医療▽防犯▽にぎわいづくり-といったまちの課題や動静、暮らしに密接する素朴な疑問について、地元の区役所、警察署、医師会などの担当者に聞く「教えて東灘」を随時掲載していきます。

→「東灘区のページ」(https://www.kobe-np.co.jp/news/higashinada/)

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