エッセー・評論

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おなかすいたニャー(撮影・斎藤雅志)

おなかすいたニャー(撮影・斎藤雅志)

 近所の本屋さんが閉店になった。道路に面したラックに、学習雑誌や週刊誌が並んでいる、昔ながらのこぢんまりしたお店だった。ある日、閉店のお知らせの貼り紙を見て驚いた。あまりにもしっくりと町になじみ、そこにあるのが当然、といった雰囲気を漂わせていたからだ。

 入ってすぐ右手、旅行関係のコーナーが充実していて、初めての場所へ出掛ける時は、よくガイドブックを買った。ブルージュ、デルフト、ザルツブルク、金沢、トゥールーズ……。文学祭に出席したり、現地に住む友人を訪ねたり、目的はさまざまだったが、どの旅行でもガイドブックが役に立った。旅の充実を証明するように、それらはどれも角がすり減り、あちこちに貼った付箋は折れ曲がり、重要な箇所に引いた蛍光ペンのアンダーラインは、心なしか色あせている。そんな数冊が、家の本棚に仲良く並んでいる。

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2020/10/3
 

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