エッセー・評論

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天使の音楽会(撮影・後藤亮平)

天使の音楽会(撮影・後藤亮平)

 農作業の合間にくつろいでいる、といった雰囲気のスコット・ロスの写真がジャケットになったCD、「ゴルトベルク変奏曲」を聴くと、これをプレゼントしてくれたユベール・ニセン氏を思い出す。私にとって最初の外国語訳になる小説を出してくださった、フランスの出版社の先代社長だ。アルルの羊小屋から会社をスタートさせ、組織が大きくなったあとも地元に留(とど)まり、文学を通して地域の文化の発展にも尽くした、志の高い社長だった。

 CDなのだから、流れてくる音楽に変化はない。バッハはバッハである。しかし、贈り主が亡くなっているというだけで、特別な響きを帯びて聴こえるのはなぜだろうか。とても不思議な気もするし、当たり前だとも思う。

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2018/1/6
 

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