
底なしの愛(撮影・笠原次郎)
誰もが知っている事実ではあるが、パソコンは底なし沼だ。編集者をうならせ、読者に感銘を与える小説を、締め切り前に書き上げるという目的のため、私はパソコンの前に座る。何と見事に簡潔な目的だろうか。その光り輝く高みに向かい、私はただキーを叩(たた)けばよいのだ。なのに気づくとなぜか、ジョン・ロイド・ヤングのインタビュー記事を読んでいる。
最初のつまずきは、小説のファイルを開く前に、映画の上映情報を検索したことにある。
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そんな資格などないんです 誰にともなく謝りたくる2022/7/2
自分の書いた言葉たちが掌の中で慈しまれている2022/4/2
幸運を私に授けるために 現れた三日月の妖精2022/1/8
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小説は、読者の働きがあって初めて、成立できるのだ2021/1/9
本屋さんがなくなることは思い出が遠ざかるのに等しい2020/10/3
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小説の文章を光らせたのはあなた自身ですよ2020/1/4
その予感は、もっと遠いどこかから発せられている2019/10/5
他者を切り捨てるのでなく、自分を丸ごと受け入れるのだ2019/7/6
その一行が、人生を先回りし私を待ってくれている2019/4/6
母親のチキンスープこそが神聖な祈りそのものだ2019/1/5
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そのささいな台詞がなぜか強く鼓膜を震わせた2018/4/7
自分が死んだあとの世界にもバッハは流れる2018/1/6
少年少女が大人になるのは本当に一大事だ2017/10/7
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世界の複雑さを思い出すノートは私だけの王国2017/1/7
損得抜きに誰かを応援して生きる力を得ている2016/10/1
美味しいものはまず子供に。これが父のやり方だった。2016/7/2
言葉は真実を表現する道具として不完全なのか2016/4/2
記憶の地層を下へ下へと掘り進んでいるのではないか2016/1/9
両腕一杯に野菜を抱えて随分とお喋りした気分に2015/10/3
そうか。君の瞳は、ママを象徴していたのか。2015/7/4
ひっそりとした片隅に、私を守る何かがいる2015/4/4
世界にはなんと多くの誤りがあふれているのだろう2015/1/10
さすが、138億光年を相手にしている方々は違う。2014/10/11
将来、彼の恋人になる女性は幸せだ2014/7/5
豆ご飯を作りながら、いつもボブスレーのことを考える。2014/4/11
このままいったら私はどうなるのだろう。2014/1/4
世の中は事情で成り立っている。2013/10/5
小人か妖精の仕業と考えるのが妥当である。2013/7/6