教育

受験のココロ 中学入試編

(1)失敗の経験から私が学んだこと  努力が自分を強くする
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 連載を担当します、中学受験専門の進学塾「希学園」学園長の黒田耕平です。よろしくお願いします。

 皆さんは「中学受験」に対してどのような印象をお持ちでしょうか。「小学生なのに夜遅くまで塾に通わせるのは…」「のびのび育てる必要のあるうちから、勉強、勉強というのは…」とお感じになっている方も多いかもしれません。

 私は伊丹市の出身で、公立小学校に通っておりました。進学塾に通っていた同級生に誘われる形で、小学4年生から塾に通い始めました。当時のことを振り返ると、小学校とは違う環境で新しいことを学べる楽しさや充実感と、宿題をするために長時間勉強しなければならない苦しさのはざまにいたように思います。

 小学6年生になると、それこそ小学校で過ごす時間を除いて、勉強漬けの毎日でした。一生懸命努力したつもりでしたし、第一志望校への合格の可能性も十分にあると言える状況で中学入試を迎えました。しかし、結果は不合格でした。

 その一校しか出願していなかったので、不合格なら公立中学校に通うつもりでしたが、両親や担任の先生が、せっかくの頑張りを形にしてやりたいと思ったのでしょう。そのタイミングから出願できる中学校を受験し、合格しました。そして私はその私立の中高一貫校に6年間通いました。

 私自身の人生を振り返って、中学受験をしたこと、その結果が望む形でなかったことは嫌な思い出や挫折ではなく、自分を強くできた貴重な経験だったと思っています。そう思えるのは、ひとえに当時の塾や小学校の先生方や両親などの私の周りにいた大人が「目標に向かって一生懸命に努力することの大切さ」や「全ての経験をプラスにしていくことの大切さ」といった、正しい価値観を伝えてくれたからだと思います。

 中学受験はあくまでも人生の選択肢の一つにすぎないと思います。ただ、感覚的な捉え方から論理的な捉え方へと大きく成長する小学生の間に、勉強でもスポーツでもいいので大きな目標を掲げ、苦しみを乗り越えて「一生懸命努力する」という経験は、「生きる力」を身につける貴重な機会になると思います。その一つとして中学受験を捉えていただければと思います。

 自身はうまくいかなかった中学受験。しかし、子どもたちの貴重な経験の一助になるこの仕事に今は責任とやりがいを感じています。

 【くろだ・こうへい】 1975年、伊丹市生まれ。大阪大在学中から塾講師として算数を教える。2009年希学園学園長に就任。

2015/5/11
 

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