
えーっと…(撮影・鈴木雅之)
人の脳には、他人の顔を認識するため専用の部位が存在するらしい。点が二つ並んでいて、下に横線でもあれば、とりあえず顔として認識する。社会的生物である人間には、そのくらい顔は重要なのだ。
私は、聴覚型の人間で、視覚像の記憶は、はなはだ心許(もと)ない。ただ、人の顔に関しては、そう簡単に忘れないという自信があった。もし作家にならなければ、雑踏で指名手配犯を見つける見当たり捜査官になれたのではと、夢想したことがあるほどである。
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