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 甲南大学の新入生を対象にした新型コロナウイルスの影響調査で、2022年度のストレス値が過去2年と比べて最悪だったことが、甲南大学全学共通教育センターの調べで分かった。筆頭著者として論文にまとめた曽我部晋哉教授は「『コロナ慣れ』は起きていない」と指摘。「精神的にも大人になる大切な時期に、コミュニケーションの機会を奪われた世代だ」と心のケアの必要性を訴える。

 調査は新型コロナの流行が始まった20年から毎年6月ごろに行い、20年度は1897人、21年度は1908人、22年度は1579人の入学生が答えた。「不機嫌・怒り」「抑うつ・不安」「無気力」の3項目にそれぞれ六つの質問を設け、「全く違う」の0点から「その通りだ」の3点までの数値を平均化した。

 22年度はコロナ禍3年目。大学の講義が対面とオンラインの組み合わせになるなど、日常生活を含めた制限が減り、研究班は「メンタルヘルス(心の健康)は改善されている」との仮説を立てた。しかし結果は「無気力」が20年度の5・94から6・22に悪化したのをはじめ、3項目ともワーストを記録した。

 研究班は、高校2年生の時にコロナ禍が本格化した世代であることに着目。修学旅行が大半の高校で中止となったほか、体育祭や文化祭は縮小した。20、21年度の新入生以上に、友人関係を深める機会を多く失った。また、マスク生活の長期化で大学進学後の友だちづくりにも苦労し、新たなストレスにつながった可能性もあるとみている。

 メンタルの改善に効くとされる身体活動は前の2年より増加しているだけに、曽我部教授は結果を深刻に受け止める。「考えていた以上に影響は大きく、どの大学も同じ状況だろう。今春の新入生も含め相談窓口をつくるなどのケアを考える必要がある」と呼びかける。

 論文はインターネット上の「甲南大学機関リポジトリ」で公開している。(有島弘記)

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