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兵庫県広域防災センターの担当者から説明を聞く森田莉碧さん(右)と千々岩瑠菜さん(中央)=三木市志染町御坂
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兵庫県広域防災センターの担当者から説明を聞く森田莉碧さん(右)と千々岩瑠菜さん(中央)=三木市志染町御坂
広大な備蓄倉庫を見学=三木市志染町御坂
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広大な備蓄倉庫を見学=三木市志染町御坂
「防災 THE PRESS」のインスタグラムの画面
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「防災 THE PRESS」のインスタグラムの画面

 防災情報の発信は、「インフルエンサー」にお任せ-。交流サイト(SNS)で多くのフォロワーに支持されている大学生らが、行政や企業の防災の取り組みを「素人目線」で取材し、発信する試みが注目されている。依頼しているのは、防災技術の研究や商品開発が専門の兵庫県内の企業だ。南海トラフ巨大地震への備えが求められる中、彼女らの影響力に期待が高まる。(上田勇紀)

■スマホ片手に

 2月末、スマートフォンを手に、兵庫県広域防災センター(兵庫県三木市)を熱心に見て回る女子大学生2人の姿があった。

 関西外国語大の千々岩(ちぢいわ)瑠菜さん(19)と、国際ファッション専門職大の森田莉碧(りお)さん(20)で、ネットメディア「防災 THE PRESS」の一員として取材に訪れた。

 2人は、アルファ化米約3万食やブルーシート約4800枚、テント約400張りなどが備えられた倉庫のほか、消防隊員らによる緊迫した救助訓練を見学。担当者の話に耳を傾けながらメモを取り、時折スマホで動画を撮影した。

 取材途中には、阪神・淡路大震災や東日本大震災で記録された震度7を体験できる起震車に乗り込み、激震に揺られた。

 「こんなすごい揺れは初めて。動けなかった。本当に起きたらパニックになるかもしれない。災害を甘くみては駄目と思った」と千々岩さん。森田さんは「私たちが防災の心構えを伝え、一人でも多くの命を救いたい」と話した。

 後日、千々岩さんと森田さんの取材成果が、インスタグラムに写真付きでアップされた。

 そこには「備蓄って本当にされているのかなという疑問が一気に晴れる瞬間でした」「家庭での備蓄も大切だなと改めて感じました」など、率直な感想が記されており、県広域防災センターの栗原利典総務部長は「インフルエンサーを通じ、若い世代にもっと施設を知ってもらい、防災につなげられたら」と話す。

■全国100カ所

 ネットメディアを運営しているのは、東京を拠点に「防災・減災コンサルタント」として事業を展開する「日本防災研究センター」(神戸市中央区)だ。

 防災用品などを扱うゴム製品メーカー「シバタ工業」(明石市)の子会社で、2020年からインフルエンサーと組んで情報発信を始めた。

 ファッションに興味のある大学生らが集まる団体と連携。取材先が決まるたび、記者となる学生を募る。中には、モデルとして活躍し、インスタのフォロワーが多い学生もいるといい、その影響力に注目した。

 同センターの山本一夫社長(48)は「難しいイメージのある防災だが、大学生が素人目線で伝えることで身近に感じてもらえる」と狙いを話す。

 これまで兵庫県、佐賀県、沖縄県の自治体や台風対策に力を入れるホテルなど全国100カ所以上を取材。学生は帰宅困難者を想定した訓練にも参加し、専用のインスタやツイッター、ホームページのほか、学生自身のSNSでも発信している。最近では自治体や企業側からの取材依頼が増えてきたという。

 インスタでは防災クイズのライブ配信も実施。昨年秋には、神戸市で開かれた国内最大級の防災イベント「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)」でブースを出展し、活動の幅を広げた。山本社長は「防災の裾野をどんどん広げていきたい」と目標を語る。

 大学生らが取材した記事は「防災 THE PRESS」のホームページやSNSにアップし、取材依頼も受け付けている。

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