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兵庫県の斎藤元彦知事=2022年8月1日、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・秋山亮太)
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兵庫県の斎藤元彦知事=2022年8月1日、神戸市中央区、兵庫県庁(撮影・秋山亮太)
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 兵庫県の斎藤元彦知事は29日、知事会見を開き、県庁舎で実施していた詳細な耐震診断の結果を公表し、2026年度に県庁舎1、2号館などの解体を始める方針を表明した。職員は2025年度中に近隣の県施設に移り、跡地は緑地化して広場やイベント会場として活用する方針。県は解体準備を進める一方で、テレワークで職員の出勤率を4割にするなど働き方改革に取り組み、新庁舎建設の必要性を見極めるという。会見での主なやりとりは次の通り。

 -25年度に1、2号館の職員が退去するまでの安全対策は。(家具などの)什器類の固定をするということだが、耐震補強はしないのか。

 「耐震補強はしない。一定のコストがかかる。結果的に解体することになるので、コストをかけて耐震補強するのではなく、棚や什器を固定する措置をすることで対応したい」

-東日本大震災でも、倒壊はしないが天井が落ちて人がけがをするケースがあった。そういった危険性はないのか。

 「これから2年かけて退去の準備をする。ロッカーの固定などソフト面に加え、どこまで対策するかはこれから議論。ただちに倒壊する恐れはないが、職員の安全のためにも、被害をどこまで想定して対策していくか検討する。ただ何十億、何百億円かけて補修するのは、現時点ではやや合理的ではないと思っている」

-移転中に南海トラフ巨大地震があった場合の災害対応は。移転に向けてテレワークで職員の出勤率を4割にするとのことだが、対応できるのか。

 「今回の診断結果で、1、2号館を災害時に使えなくなる可能性が高いことが確定した。それを踏まえて今のBCP計画を見直す必要がある」

 「災害時に最低限どの部局が出てこないといけないか、どんな機能が必要であるかは、阪神・淡路や東日本大震災の経験で見えている。リアルで職員が出てくる必要があれば、どこでオフィスとして構えるかを議論しないといけない」

 「災害対策センターを中心に災害対策本部を開き、後は土木や住宅関係などのハード整備、県民へのソフトな生活支援など復旧に対して必要な部署をリアルで配備していく体制をこれから作っていくのが重要な作業」

 -出勤率を4割にしたとして、職員約千人の移転先は3号館と生田庁舎、公館で足りるのか。民間ビルを賃貸する可能性は。

 「民間ビルの賃貸もあると思う。まずは出勤率をできるだけ下げられるように、来年度の(固定席を設けない)モデルオフィス、再来年度のモバイル端末の切り替えを行う。下がった出勤率の中で効率的にスペースを活用して、部局の機能を確保したい」

 「それでもなおスペースが不足する場合は、元町エリアに限らず、できるだけ県の所有する施設を活用する。近接した場所にオフィスを構える必要があれば民間施設のリースも検討していきたい」

-新庁舎整備について。新しい庁舎を建てる前提での議論なのか。

 「建てるという前提を完全に持っているわけではない。出勤率を4割よりさらに下げられる可能性もある。それをトライアルしながら、どこまでのスペースが必要か議論していくことが大事だ」

 「その結果、もし既存スペースや元町エリア以外の施設の利活用によって、災害時の対応も含めて運用できるのであれば、新しく庁舎を建てる必要はないということになる。

 「一方で、やはりこのエリアに一定規模の機能が必要となれば、新庁舎建設が必要になる。作るとしたら、フルスペックというよりも、できるだけダウンサイズにしてコンパクトな庁舎を作ることを目指したい」

-新庁舎を建てることになった場合、現在の場所に建てるのか、立地も含めて検討するのか。

 「仮に新庁舎を建てる場合、どのような位置に立てるかはこれからの議論。元町駅周辺も含めたグランドデザインや、このエリアがどうあるべきかも含めて議論していく」

 「まずは庁舎の解体後に市民緑地をつくり、子どもたちや県民がゆっくり過ごせる憩いの場にする。災害時には、広域防災の拠点性も確保できるのではないか。暫定的にやりながら、必要な機能ができれば、新しい庁舎の建設も視野に入れていく」

 「元町エリアにできるだけ緑地を作りたいという思いがある。元町周辺には大きな緑地スペースがない。ここに神戸市は東遊園地に確保しようとしているが、元町はメリケンパークぐらい。広いスペース、緑のスペースを確保することで元町地域のブランディングを高めたい。価値を創造できるかどうかを暫定的にやっていきたい」

-移転後、知事はどこに行くのか

 「これから検討する。公館の中にもかつて知事室として使われた部屋がある。知事の執務室をどのように確保していくかはこれからの議論。私自身も出勤するか、もしくはフリーアドレスで働く時代がくるかもしれない。前提なしで議論したい」

-一連の解体費用の見込みは。新庁舎を建てる場合は。

 「解体自体は約70億円。どういうものを建てるかによるが、前計画では700億円だが、それは物価高騰前の試算なので、間違いなく1千億円を超える。それはいったん凍結し、できるだけ既存の庁舎を使い、それでも足りなければダウンサイズをしながら一定の規模感を確保していく」

-出勤率4割の実現可能性は。

 「コロナ禍で出勤率4割だった時期がある。実現可能だと思う。市役所や町役場は窓口対応がかなりあるが、県庁の本庁機能は、出先機関を除き、基本的に企画立案機能が中心。十分テレワークで対応できる余地がある」

-テレワークで行政サービスのレベルが下がる懸念は。

 「下げないようにする。テレワークは交代制で行う。リアルで話すことはできる。リアルでずっと会わずに仕事することにはならない。窓口対応をリモートでやるわけではない。県民の利便性が直接下がることはない」

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