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兵庫県議会自民党会派から離脱する議員から県知事選の立候補要請を受ける斎藤元彦氏(手前左)=2021年3月、、神戸市中央区下山手通4、兵庫県民会館
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兵庫県議会自民党会派から離脱する議員から県知事選の立候補要請を受ける斎藤元彦氏(手前左)=2021年3月、、神戸市中央区下山手通4、兵庫県民会館
2021年7月の兵庫県知事選で、斎藤元彦氏の応援に駆け付けた日本維新の会の吉村洋文副代表(左)と松井一郎代表(肩書はいずれも当時)=神戸市中央区、大丸神戸店前
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2021年7月の兵庫県知事選で、斎藤元彦氏の応援に駆け付けた日本維新の会の吉村洋文副代表(左)と松井一郎代表(肩書はいずれも当時)=神戸市中央区、大丸神戸店前

 「誰が出てきても受けて立つ」。3月上旬、北播磨を地盤にする自民党の兵庫県議は、選挙事務所開きで覚悟をにじませた。

 2019年の前回選は無投票当選し、支持者の間には「今回も無風」と楽観ムードが漂っていた。だがその裏で、日本維新の会による候補擁立がささやかれ、程なくして現実となった。

■4年前にはなかった光景

 維新の拡大路線は、県議選の構図を一変させた。その象徴が、七つの選挙区で見込まれる「自民VS維新」の直接対決。いずれも1人区で、4年前には見られなかった光景だ。

 その大半は自民の公認・推薦候補が議席を守ってきた保守王国。しかし、維新の候補9人全員が当選(比例復活を含む)した21年の衆院選では、比例得票も維新に後れを取った保守地盤もあり、勢力図が揺らぐ。

 内閣支持率の低迷で求心力が低下する中、維新の攻勢を受ける自民は今回、政権でタッグを組む公明党との協力を重視する。県議選では前回選の約1・5倍の19人が推薦を受ける。

 昨夏の参院選兵庫選挙区(改選数3)で公明候補を推薦しており、「借りを返してもらう」とベテラン自民県議。組織力を誇る公明の協力で優位に選挙を進めたいとの計算が働く。

 一方の公明は、県議選の11選挙区で13議席の維持を狙う。ただ、いずれも維新候補と対峙(たいじ)することになり、公明関係者は「厳しいのはうちも同じ」と漏らす。

 「大阪都構想」の協力を前提に連携してきた維新との関係も「リセット」され、「自民の期待には応えるが、最優先はわが党の全員当選だ」と強調する。

     ◇

 県議会のいびつな構成も構図を複雑にする。

 21年の知事選で、自民会派は候補擁立を巡って分裂。維新とともに知事斎藤元彦(45)を支え、会派を出たグループと、対立候補を推したもともとの議員団とのあつれきは、いまだ解消されていない。

 自民の支持団体には合流を望む声が強く、ある地元選出の国会議員は仲介を買って出た。「選挙後、一つにまとまるなら協力する」。維新との一騎打ちに備え、支援を求める県議に交換条件を示し、了承を得た。

 一致団結が求められるのには事情がある。自民は県議選(定数86)で44人を公認・推薦する。分裂した2会派で今は過半数を維持するが、維新が伸ばせば主導権の一端を握られかねない。

 県幹部は県側のスタンスを解説する。「維新の提案も取り入れるが、自民が反発しない範囲が前提。ただ、議席数の差が縮まれば前提も変わる」。決戦の行方は県政の軸足を左右する。

     ◇

 「地方から党勢を回復させるには、これ以上、議席を減らせない」

 旧民主党を源流とし、国政ではたもとを分かつ立憲民主党と国民民主党は今回、同じ危機感を共有する。県議会で現有4議席の立民は7人を立て、国民は現職1人が議席死守を狙う。

 県議会では、両党所属の議員が同じ会派で活動する。前知事時代、県政与党の一角を占めたが、先の知事選で対立候補を支援したこともあり、新知事就任後は是々非々で対応する。

 昨年末、知事との親密ぶりをアピールする宣材写真の撮影会があった。フレームに納まったのは、自民と維新、公明会派の議員たちで、立民と国民の姿はなかった。

 前回選で両党県組織の協力は、各選挙区で候補者が対決しない「すみ分け」にとどまった。崖っぷちに立つ今回は、立候補予定者の相互推薦にまで踏み込み、生き残りをかける。

 共産党は前回と同じ16人を公認し、議案提案権を持つ8議席を目指す。

 各党の思惑が交錯する前哨戦。審判後、議会の風景はどう変わるのか。(統一選取材班)

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