「子育て世代の声を政治に届けるには、立候補するしかなかった」
兵庫県北部の朝来市に移住した加藤貴之(39)が、縁もゆかりもない土地で市議を志したのは、自然の流れだった。
東京で生まれ育った。旅好きで、全国各地を巡りながら人口減少や過疎の問題に関心を持った。同市の地域おこし協力隊に採用されたのを機にIターン。2014年に移住し、結婚して子どもができた。
育児をするうちに「子育て支援の充実が課題にならない」と議会のあり方に疑問が湧いた。05年の合併でできた市だが、旧町のコミュニティーのつながりはいまだに強い。議員は地域代表としての役割が色濃く残る一方で、若い世代のなり手はほとんどいなかった。
21年10月の市議選でベテラン議員の引退に伴い、地域の代表として推された。「よそ者」ならではの視点が期待されたと感じた。
他都市の先進事例や過去の議事録をネットで調べるなど在宅で仕事をし、十分とは言えない議員報酬を補うため、塾講師を掛け持ちする。議員として招待される週末の講演会には、子連れで参加することもある。
「安心して妊娠、出産できる環境を整えるべきだ」。昨年12月、市議会の一般質問に立ち、産科医療の充実を訴えた。
約2万9千人が住む市内に出産できる病院はなく、隣接する養父市の公立八鹿病院も医師不足で、昨年11月に分娩(ぶんべん)を休止した。若者らの移住促進を目指す市にとって、産科医療の現状は足かせにもなりかねない。
「ここでずっと暮らすためには、若い世代も考え、声を上げる必要がある」。多様な民意こそが地方議会に新しい風を吹き込む。
◇
議員のなり手不足は、小規模な自治体ほど深刻化している。神戸新聞の県内地方議員アンケートでは、「課題」とした回答と、「課題になっていない」がそれぞれ約25%で拮抗(きっこう)。都市部と地方では事情が微妙に違うことを示した。
淡路市も危機感を強める自治体の一つ。20年後には、働き手の中心となる生産年齢人口(15~64歳)を、老年人口(65歳以上)が上回るとの予測がある。市議会は定数18のほぼ半数が既に65歳以上になった。
「おまえとは考えが違う」。最年少市議の戸田敦大(37)は、同世代の知人に議員になるよう誘ったことがあるが、けんもほろろだった。
「議員報酬だけでは余裕がなく、世間からも厳しく見られ、割に合わない」-。理由は明白だった。地元を元気づけようとする人材はみな、議員ではなく、特産品の通販会社などの起業を選んだ。
市議だった父親の後を追い、2年前に初当選した戸田には政治の手触りがあった。島外の就職先を辞め、家業のガソリンスタンドと議員の仕事を手伝ったことで、重みを知った。周囲から「世襲」と見られるが、「幅広い住民の思いや要望をすくい上げるのは議員だけだ」と意に介さない。
昨年2月、島内の淡路、洲本、南あわじの3市にいる30代の議員で「淡路島若手議員の会」を立ち上げた。議員の仕事や魅力を伝え、希望者には選挙などのサポートも考えている。「仲間が増えれば、より多くの住民に耳を傾けることができる」=敬称略=
(統一選取材班)
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