成人の刑事裁判と異なり、家庭裁判所の少年審判は立ち直りを重視する少年法に基づき非公開だ。ただ、審判で決定した事実に疑いが生じることもある。少年審判で認められた殺人などの非行事実が、後の民事訴訟で覆ったのが「草加事件」だ。元少年の「無罪」を導いた端緒は、少年事件記録だった。弁護団長を務めた清水洋弁護士(74)は「裁判官は記録に対する問題意識を持たない」とし、少年事件記録を永久保存する選定作業に第三者の目を入れるべきだと訴える。
■真逆の判断
「公権力が生んだえん罪」。2002年10月30日付の神戸新聞社説は、草加事件に対する家裁の“誤判”を批判した。埼玉県草加市で1985年7月、当時15歳の女子中学生が、暴行を受け殺害された事件。6人の少年が逮捕、補導され、捜査段階での「自白」などを根拠に、当時13歳の少年を除く5人が少年院に送致された。しかし、その後、遺族側が少年3人に起こした民事訴訟で、事実上の「無罪」となる真逆の判断が下る。元少年らの関与を否定した、その東京高裁の差し戻し控訴審判決が確定したのは03年3月。事件の発生から18年近くがたっていた。
■「証拠隠し」
清水弁護士は、主導的とされた3少年の第2回少年審判から付添人になった。しかしその後、少年院送致が決定する。「冤罪(えんざい)」を晴らす闘いは、事件記録が手がかりだった。
弁護団が記録を読み込むと、いくつも疑問が浮かんだ。捜査側は、被害少女に残された唾液の鑑定で、加害者の血液型をAB型としていた。一方、少年はO型とB型しかいなかった。しかも、裁判所が開示した記録には、鑑定書も少年たちの血液型に関する資料もなかった。
「証拠隠しだ」。清水弁護士らは訴えたが、従属的な少年2人も流れ作業のように少年院送致が決定。草加警察署から血液型に関する書類が送られてきたのは、処分決定の後だった。
■真犯人は誰
弁護側は決定内容への異議申し立てと保護処分取り消し請求で、計4回も最高裁まで争ったが、少年に対する決定は覆らなかった。
最後は、少年が20歳に達し、「保護処分が終了した」とみなされて幕引きになった。家裁の処分が取り消されないため、今も元少年たちには「殺人」という「前歴」が残る。
「無実の少年が犯人とされただけでなく、被害者の少女が、いつ、どこで、誰に殺害されたのかという事実が闇に葬られた」。清水弁護士は「冤罪は司法(機関)の犯罪」と語る。
清水弁護士は、永久保存とする記録を選ぶ時に、裁判官だけでなく、外部の弁護士や学者も入った選定委員会で検討する仕組みが必要と強調する。「事実認定は二の次で、少年の更生ばかりに関心がいきがちな家裁の裁判官は、記録に対し負い目を感じることさえあるかもしれない」(霍見真一郎)
【しみず・ひろし】1948年生まれ。中央大法学部卒。74年に司法試験合格。77年に東京弁護士会登録。85~2003年、「草加事件」弁護団長。
■【特集ページ】失われた事件記録
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