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震災で犠牲になった児童3人の担任だった木下新吾さん。慰霊碑に花を手向けた=17日午前5時39分、芦屋市精道町、精道小学校
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震災で犠牲になった児童3人の担任だった木下新吾さん。慰霊碑に花を手向けた=17日午前5時39分、芦屋市精道町、精道小学校

 写真の子どもたちは、あどけない表情のままだ。兵庫県芦屋市立潮見小学校校長の木下新吾さん(52)は17日朝、かつて勤務した同市の小学校で、10歳で命を奪われた3人の教え子を悼んだ。「どんな大人になっていたんだろうな」。校長になった今、改めて「伝えること」が大切と痛感している。

 木下さんは1994年4月、同市精道町の精道小学校に赴任。新任教諭だった。「新米教師としてとにかく楽しいクラスをつくりたかった」と振り返る。そのわずか9カ月後の地震で、同校の児童8人が亡くなった。そのうち3人が、木下さんが初めて担任となった4年2組にいた。

 読書が好きでしっかり者の青木尚子さん、絵が得意で転校してきてすぐに皆の輪の中心にいた往古大喜君、サッカーがうまくて人気者の須賀晃弘君。28年がたっても、お楽しみ会ではしゃぐ姿を覚えている。

 夜明け前、精道小の校庭にある慰霊碑に花を手向けた。今年も、当時の教え子数人と一緒になった。同じ教師になったり、市役所に勤めていたり。近況を聞くのは楽しみだが、3人の成長だけはもう見られない。

 教育委員会勤務などを経て昨年4月、初めて校長として7年ぶりに現場に戻った。「3人が生きた事実を知ってほしい」。自分の経験と思いを語ってきたが、震災を知らない子どもが増えたと肌で感じる。

 「親を亡くした子、校庭の車で寝泊まりした子。苦しい中でも、夢を持って精いっぱい生きていた」。焼き付いた記憶を語り続けるつもりだ。

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