激しく立ち上る黒煙、倒壊した家屋、陸に打ち上げられた漁船…。あの日、島は壊滅的な被害を受けた。
1993年7月12日夜、北海道南西沖を震源とするマグニチュード(M)7・8の地震が起きた。最大の被災地となった奥尻島にはわずか数分で津波が襲来。高さは20~30メートルにも及び、島内の死者・行方不明者は198人を数えた。
「北海道南西沖地震」と呼ばれるこの災害は今年、発生から30年になる。東北大の定池祐季(ゆき)助教(43)=災害社会学=は中学2年の時、島で地震を経験した。「でも」と、定池さんは意外なことを口にした。「北海道や東北の今の若者に当時の話をしても通じません」。つまり、知らない。
30年前、世界に発信された大津波が忘れられていく現実。かつて人と防災未来センター(神戸市中央区)の研究員でもあった定池さんは、流れた歳月の重みをかみしめる。
■専門家の間で語られる「30年限界説」
「30年限界説」。災害の記憶は、発生から30年たつと継承が難しくなる-。専門家の間では時にそう語られる。
東北大の佐藤翔輔准教授(40)=災害伝承学=は出身地、新潟での体験を語った。64年に起きた新潟地震(M7・5)のことだ。
20人以上が犠牲となった。100基を超える石油タンクが炎上、住宅街では液状化現象が起きた。伝えられるべき教訓は多い。
佐藤さんにとっては生まれる前の話だったが、小学校で繰り返しこの地震について学び、頭に刻まれたという。発生から30年になろうとする頃だった。
研究者の道を進み、新潟の学校へ足を運び、子どもたちの反応に驚く。「新潟地震? 知らない」
地元でさえ地震の記憶が薄れつつあった40年後の2004年。同県を再び大地震が襲う。新潟県中越地震(M6・8)。最大震度7。
時の流れにあらがい、どう語り継いでいくのか。佐藤さんは日々、その研究テーマと向き合う。
■「語り継ぐ」模索続ける現場
神戸発の新学会が立ち上がった。3年前の春。名は「防災教育学会」。会長には元高校教諭の諏訪清二さん(62)が就いた。
諏訪さんは、阪神・淡路大震災(M7・3)の後、兵庫県立舞子高校(神戸市垂水区)に開設された環境防災科で初代科長を務めた経験を持つ。手探りで始めた防災教育は広がりを見せた一方、時間がたつにつれ地域や学校による温度差も感じるようになった。
やるなら、少しでも早いほうがいい。定年まで3年を残して退職。教諭という立場に縛られず、次世代の防災教育を後押ししようと考えた。
「『語り継ぐ』というのは『語る』と『継ぐ』。すなわち、人から聞いた語りを人に継ぐこと」。諏訪さんは言う。一人一人が「語り継ぐ」ことで時の壁を越えるしかない。教育現場の役割はだから、大きい。
少しでも早く-。「発生30年」は間近に迫る。
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