• 印刷
インタビューに応じる榎本和夫明石市議会議長=明石市中崎1、明石市議会
拡大
インタビューに応じる榎本和夫明石市議会議長=明石市中崎1、明石市議会

 地方自治体の首長と議員は、ともに選挙を通じて有権者から選ばれる。いずれも民意を反映していることから「二元代表制」と呼ばれ、意見が異なれば議論を重ねて着地点を見いだすのが本来の姿だ。しかし、兵庫県の明石市政では互いに対立を深めている。議会を代表する榎本和夫議長に主張を聞いた。(統一選取材班)

 -市の子育て支援をどう見ているか。

 「私たち議会は市の提案に修正を加えるなどしており、市と議会が一体になって作り上げた施策だ。良いものに仕上がった。議会には議決(自治体としての意思決定)をした責任もあり、市長が代わったら終わるのではないか、との心配は全くいらない」

 -泉市長は議会の多数派が市政に嫌がらせを続けているとの趣旨の主張をしているが、どうか。

 「嫌がらせとは何を指すのか分からない。地域にはいろんな立場、いろんな意見の人がいる。それら多種多様な意見を議員一人一人が持ち寄り、議論する場が議会だ。市長の提案に反対意見が出ることが嫌がらせにはならない。全てに『イエス』とするべきなら、そもそも議会は必要ない」

 -来年4月の市議選で、泉市長は自身に近い議員で議会の過半数を取ることを目指している。

 「市を監視、チェックする議会の機能が損なわれることを心配する。泉氏の意に沿う人が議会の過半数を取れば、市の提案に対し、議員が議論して修正を加えることはせず、丸のみするだろう。後継者を立てるとはいえ、泉氏自身は4月末で市長を退任すると表明しており、何をしたいのか理解できない」

 -泉市長は専決処分で実施した昨夏の「全市民への5千円券配布」を巡り、事前の根回しが覆されたと最大会派を非難している。

 「議案の中身について事前に説明を受けているが、賛否を巡り事前の根回しがあったかどうかは知らない。根回しがあるとは思わないし、その必要もない」

 -議会が嫌がらせをしているとの泉市長の主張に、ツイッターでは支持する声も少なくない。

 「ツイッターを見る人には、市長が切り取った部分しか届かず、そこに至る経緯や詳しい中身は伝わらない。つぶやきだけを見れば支持する声が上がるのも当然で、そこがツイッターなどSNS(交流サイト)の怖さだ。発信力は強いが、発信内容について全議員が意見を一致させることは難しく、議会としての投稿は現実的ではない。議員一人一人の発信力を高めるため、情報端末などの使い方の研修が必要だ」

 「議事録ができるまでの間、全ての委員会の録画をユーチューブで配信したり、10~30代の若者と議員の意見交換会をオンラインで開いたり、発信力強化に向けた試みをしている」

 -来年4月に退任する意向の泉市長が今月、児童手当の対象拡大や図書館の3館新設を打ち出した。

 「議員も市幹部も事前に聞かされておらず、突発的に言われて戸惑った。後任の仕事のはずなのに、疑問しかない。市長は退任するため、2023年度予算案に関する議会各会派との話し合いにも出席しなかったのに…。庁舎やごみ処理施設の建て替えなど巨費を要する事業が控えるので、財政見通しを示してほしいと市に要望した。泉氏は(政治家引退を撤回し)4月の市長選に出ると思う」

■【特集ページ】泉・明石市政を考える

明石統一地方選わたしたちの政治泉・明石市政を考える明石市W選
もっと見る
 

天気(9月7日)

  • 34℃
  • 27℃
  • 20%

  • 36℃
  • 24℃
  • 40%

  • 35℃
  • 26℃
  • 20%

  • 35℃
  • 25℃
  • 30%

お知らせ