全国の家庭裁判所で少年事件の記録が廃棄されていた問題で、ジャーナリストの青木理さん(56)は、司法文書に限らず日本の公文書全般に対する保存・管理の意識の低さに触れ、「その究極的な事例が表出した」と指摘する。そしてこの機に、文書管理に関する国民的な議論や包括的な法整備が必要と断じる。
-記録廃棄について。
「犯罪や事件には、社会のゆがみや問題が凝縮されている。本来なら後世に伝えるため、事案の重大性を問わず全ての文書を残すのが当然だ。まして神戸連続児童殺傷事件は戦後犯罪史でも最も衝撃が大きかった事案の一つで、廃棄など考えられない。裁判所の職員がどんな気持ちで捨てたのか、止める人間はいなかったのか-。問いたくなる」
-近年は公文書管理の重要性が叫ばれていたが。
「公文書管理法が制定されているものの、日本では公文書の保存・管理に対する意識が非常に低い。行政機関でさえ平気で文書の廃棄や改ざんをする。裁判所をはじめ検察や警察といった司法関係の組織はさらにひどいのではと危惧する」
-具体的には。
「日本ではすぐ公文書が廃棄されてきた。第2次大戦の検証をする際、日本ではなく米国の公文書を利用するのは日常茶飯事だ。また米国ではヒラリー・クリントン元国務長官が職務で私用メールを使い、大きな批判が起きた。これは機密情報の漏えいリスクという側面もあったが、『私的なメールでは公文書として記録が残らない』という問題意識からだ。それほど公的な記録が重視されている」
-米国が公文書をそれほど重視する理由は。
「国家の記録は、司法や行政の手続きだけに使われるのではない。さまざまな分野の研究者やジャーナリスト、後世の歴史家がその文書にアクセスし、事件や問題がなぜ起きたのかを検証する貴重な資料になる。また、公文書に残るということは、いずれ歴史の審判を受けるわけで、司法や行政に携わる責任者に緊張感が生まれる。その意味で民主主義の根幹を支えていると言ってもいい」
-少年事件記録の場合、行政の公文書と性質が異なる面がある。
「司法文書の中でも少年事件関連の記録はプライバシーなど微妙な問題をはらんでいるのは分かる。ただそのことと、廃棄して良いかどうかは別問題。全て残すのが基本で、全量保存した上で、どの段階でどこまで公開するのかを議論し法制化する必要がある」
-事件記録保存の在り方について、最高裁の有識者委員会が検証している。
「裁判所内だけで新しいルールを作って全てが解決する問題ではない。少年事件の記録にとどまらず、文書管理に関する国民的な一大議論が必要と考える。公文書の保存・管理・公開の在り方について基準などを定める法整備といった、一歩踏み込んだ対応が求められるだろう」
(聞き手・安福直剛)
【あおき・おさむ】1966年生まれ。慶応大を卒業後、共同通信社に入社。社会部や外信部、ソウル特派員などを経て、2006年に退社。政治や社会問題に関する著書多数。
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