全国の家庭裁判所で重大少年事件の記録が廃棄されていた問題。長年、公文書保存に取り組んできた東京大の御厨貴名誉教授(71)は、「記録があれば、結論に至る過程が分かり、後世の参考になる」と、保存する意義を強調する。
-記録廃棄問題や、その後の裁判所の対応をどう受け止めるか。
「私はこれまで、外交や行政文書などの公文書を、いかに保存するかという観点で仕事をしてきた。だが裁判所からは、普通の社会と雰囲気が異なる印象を受ける。何か後ろめたいことがあるからではなく、あまり深く考えずに廃棄していたのではないか」
「対応も一般社会の感覚とずれている。行政なら、こうした問題が明らかになれば、たちどころに『調査する』と言っていたはず。明確な調査方針をすぐに打ち出さなかったのは、『もう廃棄してしまったんだから』という消極的な逃げだ」
-事件記録を後世に残す意義とは何か。
「私が手がける政治家や官僚への『オーラルヒストリー(口述歴史)』では、聞いて記録することで、政策や法律が成立する途中経過が分かる。Aという政策ができるまでには、BやCなど別の考えもあったはずで、最初から意見は一致しない。結論が出るまでに『こうした選択肢や議論があった』ということを、私たちが入って話してもらう。それによって物事の決め方や組織文化まで明らかにできるし、その記録を残すことが後の政治にも影響を与える」
「裁判所の事件記録も同じだ。記録が残っていれば結論までの過程、途中経過が見える。なくなってしまえば、それでおしまいだ」
-今後の公文書管理への提言は。
「少年事件の記録を残す最高裁の『特別保存(永久保存)』の規程も『全国的に社会の耳目を集めた事件』などと定義があいまいだった。常識的に考えれば、もっと広く適用されるべきだった」
「そもそも、裁判所で一方的に記録を廃棄できること自体が問題。公文書は国民から負託されたもの。事件記録を含め、最後は国民に返すものだ。裁判所には、そういう考え方の下に対応してほしい。デジタル保存もセキュリティーを強化した上で取り入れるべきだ」(聞き手・上田勇紀)
【みくりや・たかし】 1951年東京生まれ。東大卒。専門は近現代日本政治史。政府の公文書管理委員会委員長、東日本大震災の政府復興構想会議議長代理、天皇陛下の退位を巡る有識者会議の座長代理などを歴任。ひょうご震災記念21世紀研究機構(神戸市中央区)の研究戦略センター長を務める。
■【特集ページ】失われた事件記録
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