神戸連続児童殺傷事件など、重大な少年事件の記録を家庭裁判所が廃棄していた問題。「裁判所はいいかげんだな」-。武るり子さん(67)=大阪市西淀川区=は、家裁の体質に対する不信感をさらに深めた。「少年犯罪被害当事者の会」代表を務めるが、1996年に高校1年の長男=当時(16)=を暴行事件で亡くした際、「息子の存在を消されてしまった」と感じた場所が家裁だったからだ。
-廃棄の報道に触れて。
「私の場合、家裁が息子の書類を大事に扱っているという発想は、そもそもなかった。家裁からは当時、加害者の名前も事件の内容も、審判の期日さえ教えてもらえなかった。『ここは加害少年の将来を考えるところ』と言われ、被害者である息子の存在は、なかったかのように扱われた。調査官には『親御さんの心情を聞きたいわけではない』とも言われた。命の問題なのに軽く扱われていると感じ、許せなかった」
-長男の事件について。
「高校の文化祭の日、面識がなかった他校の生徒に因縁を付けられ、一方的に暴行を振るわれた。何があったのか、真実を知りたくても『少年事件だから』と情報がもらえない。何も教えてもらえないほど不安なことはない。絶望し、民事裁判を起こすしかなかった。黒塗りが多い調書でも欲しかった」
「子どもを亡くした親は、一生、抱えきれないほどの荷物を一つ背負う。それだけでも大変なのに、情報のなさや誠意のない加害者、裁判所や警察の人との関わりが、さらに余分な荷物となる。家裁の対応がもっと違っていたら、救われたのにと思う」
-求めることは。
「息子の書類がどうなっているか分からないが、社会で大きく扱われた事件ではないので、残っていないだろう。けれど、書類はただのペーパーではない。命や思いが詰まっている。軽く扱ってほしくない。一つ一つとしっかり向かい合って、残すべきか議論してほしい」
「自宅の書類を整理していたら、2000~02年に民事裁判をしていた時のニュースレターが出てきた。裁判の経過や証人尋問の中身、弁護士や私たちの思い、神戸連続児童殺傷事件で長女を奪われた山下京子さん(故人)の寄稿もある。今年、裁判官や弁護士を目指す若い司法修習生たちに話す機会があり、持参するとすごく興味を持ってもらった。PDFファイルにもしてくれた。20年以上過ぎて、書類に価値を見いだす人がいる。残すことの大事さを感じた」(聞き手・中島摩子)
◇
【たけ・るりこ】1955年、鹿児島県生まれ。96年、当時16歳の長男孝和さんを失い、97年に少年犯罪被害当事者の会を立ち上げた。遺族らの追悼集会「WiLL」を毎年開催。改正少年法を巡り、法務省の意見交換会などでも発言している。
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