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明石市議への暴言などについて明石市議会で謝罪し、任期末で退任する意向を表明した明石市の泉房穂市長=12日、明石市中崎1
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明石市議への暴言などについて明石市議会で謝罪し、任期末で退任する意向を表明した明石市の泉房穂市長=12日、明石市中崎1

 兵庫県明石市の泉房穂市長(59)が市議会本会議で、来年4月での政治家引退を明らかにしてから一夜明けた13日。突然の表明に、明石市役所には200件を超える声が寄せられた。施策を評価し、惜しむ意見が目立ったといい、市長本人のツイッターには約19万件の反響があった。一方で議会との対立を解消できなかったことに関し、兵庫県知事や神戸市長からは冷ややかな意見が聞かれた。(有冨晴貴、田中陽一、三島大一郎)

 市役所には、12日から13日午後3時までに約218件の電話やメールが寄せられた。「やってきたことが素晴らしい」「明石の名前を全国に広めた」など泉市長に肯定的な意見が約9割を占めたという。否定的な意見としては「自分をコントロールできていない」などの指摘があった。

 議会事務局にも数十件の電話があり、問責決議案に賛成した議員の名前を尋ねたり、「市長を辞めさせないでほしい」などと訴えたりする声があったという。同事務局は「決議案に対する各議員の賛成、反対についてはホームページで公開している」としている。

 泉市長は12日深夜、「お詫び」と題してツイッターを更新。「本当に申し訳ありません。(暴言が発覚した)2019年の辞職・出直し選挙を受けての今回であり、政治家引退しかないとの判断です。ご支援ご期待をいただいてきた方々を裏切ることとなり、心からお詫び申し上げます」とツイートした。その後「感謝」「明石市政の今後について」と計三つのツイートを投稿し、改めて退任の意向を示した。

 一連の投稿には13日午後4時ごろまでに計約19万の「いいね」がつき、リプライ(返信)も計5千件以上寄せられた。「泉市長負けないで」などのハッシュタグ(検索目印)も作られている。

 そのほか「泉市長の下で働いたらうつ病になる」「市民は自分や自分の家族が暴言を言われる可能性を考えるべきだ」と、責任を重くみる意見もあった。

 一方、自民党のベテラン県議は取材に対し「本当に政治家を引退するのか。言葉通りには受け止められない」と懐疑的な見方を示す。泉市長は2019年の暴言問題でも自ら辞職しながら、市民団体などからの要請に応えて出直し選に立候補した経緯がある。来春実施の市長選に向けた候補者選定が本格化するのはこれからだが、「泉市長の動向を慎重に見極める必要がある」としている。

■神戸市長、知事はどう受け止めた

 神戸市の久元喜造市長は13日の定例会見で、明石市の泉房穂市長が来年4月の任期満了での退任を表明したことに触れ「正直驚いた。大変残念に思う」と語った。神戸市は特に子育て支援施策に関し、人口増を続ける明石市と比較されることが多い。久元市長は「考え方がかなり違う」と泉市政への対抗心をにじませながらも、「刺激や気付きももらった」と話した。

 泉市長が議会との対立を繰り返してきたことに関しては「明石のことなので何も言うことはない」としつつも、自身と議会との関係については、「自治体の意思決定機関は議会だ。市民の意見は議会によって代表されるというのが、私の地方自治に対する基本的な認識だ」と強調した。

 兵庫県の斎藤元彦知事も同日、報道各社の取材に応じ、泉市長の退任表明について「政治家の出処進退は自身で考えること。『ハラスメント行為はいかなる状況でもあってはならない』と判断したのだろう」と述べた。

 また、全市民への金券配布事業を巡り、市議会が関連議案を「継続審査」としたにもかかわらず、首長が例外的に意思決定する「専決処分」で実行したことを例に、「議会で認められないからといって専決処分で進めれば、対立を継続させる」と疑問視。「少なくとも兵庫県ではそうした手法は使わない」とした。

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