「何か、晴れ晴れとした感じでしたね。肩の荷が下りたというか。相当たまっていたと思います」
12日、兵庫県明石市の泉房穂市長の政治家引退表明会見の映像を見た同市元幹部のA氏は、そう感想を語った。このタイミングでの引退表明は予想していたのか。
「最近の市議会との激しい対立と問責決議案の提出、市会議員への暴言などで、市長に近い人たちの間でも『これはあかん』という声が出ていたようです。精神的にも限界だったんじゃないでしょうか」
泉市長は会見で「政治家引退は暴言を吐いた責任を取るため」と強調したが、暴言の理由については「市議会の嫌がらせに積もり積もったものがプチッと切れた」と振り返り、市議会への鬱憤(うっぷん)を隠さなかった。泉市長と市議会との関係はどういうものだったのか。
■対立表面化も、だましだまし
泉市長は2011年4月の市長選で、元兵庫県幹部の対立候補を69票差という僅差で破り、初当選を果たした。選挙戦では、当時の現職市議のほぼ全員が対立候補の支援に回り、市長就任後も厳しい議会運営を強いられたが、低姿勢で乗り切った。
だが、1年もたたないうちに泉市長は攻勢に出る。12年1月、市議会に市会審議での市当局の「反問権」導入を申し入れた。市議の質問に逆質問させろという挑戦的な内容だった。さらに同月、同市議会の議員定数を削減する条例改正案を提出すると表明した。議員定数削減は議会が自主的に議論して提案するのが通例で、市長と市議会の対立が表面化した。
その後も議案の扱いや発言、市政運営を巡って泉市長と市議会は対立を続けた。当時を知るA氏は「市政を意のままに動かしたい泉市長にとって、(議案や予算案を否決できる)市議会は目の上のたんこぶだっただろう」と話す。
対決姿勢で臨んだ泉市政は早くも座礁しかけたが、12年7月に就任した副市長2人が間に入るなどして市議会との関係は持ち直し、A氏は「市長も『議会は文化が異なる』と割り切って、だましだまし付き合っていくようになった」と振り返る。
■物議かもす発言 転機は21年夏
子育て支援施策の充実や人権保護の強化などに注力した泉市政は、市内外の評価を受け、市の人口は増加に転じた。19年2月には部下への暴言問題で辞職したものの、出直し市長選で圧勝した。新型コロナウイルス禍対応を巡って兵庫県知事に批判を浴びせるなど、歯に衣着せぬ物言いも物議をかもし、注目度は高まっていった。
一方で、議会との緊張関係は続いていた。引退表明後の会見で「(議会への鬱憤が暴言となって表れたのが)なぜこのタイミングだったか」と問われた泉市長は「問責決議案とは関係がなく、当日のやりとりとして(暴言が出てしまった)」などと説明した。だが、表面的には折り合いがついていた市議会との関係は21年夏にこじれていた。
泉市長は市民に5千円券を配布する緊急対策を巡って、約1億5千万円の配送費を問題視する議会を無視し、議決を経ずに予算を執行する専決処分を断行した。その後の市議会では条例案の否決が続き、議員提出で可決された条例を公布せずに再議を求め、市が条例案を出し直して否決された。市議会は川崎重工業への課税額をツイッターに無断で投稿した泉市長の行為を百条委員会で追及し、一部の市議は刑事告発に参加した。
■知事選断念も影響?
泉市長は会見で、市議会の対応を「嫌がらせ」と断じたが、「議会軽視」とも捉えられかねない泉市長の振る舞いに、市議会が反発を強めたのも無理はなかった。
21年夏は、泉市長が庁内でワンマン的な態度や言動を強めたとされる時期に重なる。22年3月、長年にわたって泉市長を支えた2人の副市長がそろって退任。独断的な指示、信頼より利益を重視する方針などで職員を振り回す姿勢に異を唱えたとみられる。
別の元市幹部B氏は「市長と議会との関係がこじれる中で、間を取り持つ副市長が不在だったことも大きい」と語る。
関係者C氏は「当初は意欲を見せていた兵庫県知事選(21年7月)への立候補を見送ったころから、泉市長は変わったように思う」との見方を示す。
■「院政」警戒も
就任当初は「一生、市長を続けたいぐらい」と公言していた泉市長の突然の引退表明について、B氏は「新しい副市長2人を(今年9月に)置いたばかりのタイミングで驚いた。次の市長次第で2人が退任せざるを得ない可能性があるので、置いたからには続けると思ったが」と話す。退任後の泉市長については「元大阪市長の橋下徹氏のような、テレビのコメンテーターなども念頭にあるかもしれない」と推測する。
泉市長は会見で「心ある政治家を作る、育てる」と意欲を示し、次期市長選でも意中の候補者を応援するとともに、路線を引き継ぐと話した。この発言に、明石市役所では独断的だった泉市長の「院政」を警戒する声も出ているという。
元市幹部のA氏は「会見は暴言を吐いた反省や謝罪の要素は薄く、市議会への恨み節と、自身の進路説明会という雰囲気でしたね」と印象を語った。(報道部デスク・森本尚樹)
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