詩集「生きているということ」「春よ めぐれ」など、阪神・淡路大震災の記憶を刻んだ作品で知られる詩人の安水稔和(やすみず・としかず)さんが、8月に亡くなっていたことが分かった。90歳。神戸市須磨区出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。
1931年、神戸市須磨区に生まれ、兵庫県立第四神戸中学校(現・県立星陵高校)在学中の45年に神戸大空襲で被災。疎開先の県立龍野高校で詩作を始めた。神戸大学文学部に進み、詩誌「ぽえとろ」を創刊。喜志邦三の「交替詩派」や小島輝正の「くろおぺす」にも参加した。
松蔭女子学院中学・高校教諭を経て神戸松蔭女子学院大学教授。55年に第1詩集「存在のための歌」を刊行。58年に詩誌「歴程」に参加。60年に「蜘蛛」、84年「火曜日」を創刊して詩作に励む一方、「神戸の詩人たち」や「兵庫の詩人たち」を編集し、郷土の詩史を体系づけた。
95年の阪神・淡路大震災では神戸市内の自宅が半壊したが、直後から震災を主題とした詩を精力的に発表。97年には被災地の詩人に連帯を呼び掛け、兵庫県現代詩協会を設立。会長を3期務めた。また江戸後期に東北などを旅した紀行家、菅江真澄の研究にも力を注ぎ、東日本大震災の被災地にも思いを寄せた。
「記憶めくり」(地球賞)、「椿崎や見なんとて」(詩歌文学館賞)、「蟹場まで」(藤村記念歴程賞)など著書、受賞多数。エッセーや評論、戯曲も手掛け、90年に神戸市文化賞、96年に兵庫県文化賞。85年から32年間、「神戸新聞文芸」の詩壇選者を務め、99年には神戸新聞平和賞を受けた。2011~12年には神戸新聞で「わが心の自叙伝」を連載した。
■「1・17」被災者の声を代弁
兵庫県を代表する現代詩の書き手として、晩年まで旺盛に創作を続けた安水稔和さん。幅広い活動の中でも、多くの人の心に残るのは、阪神・淡路大震災を巡る作品だろう。
〈砕けた瓦礫に/そっと置かれた/花の/くやしさ。〉
〈神戸のまち長田のまち/生きて愛するわたしたちのまち。/生きて愛するわたしたち/ここを離れず。〉
被災地に深い思いを寄せ、平易な言葉で人々の思いを代弁した。
生前のインタビューでは「被災地の人に何の足しにもならないかもしれないが、言葉は生きている人の気持ちを書き留め、記憶を残すことができる。10年先、50年先に読んだ時、そこに書き留められた人間の気持ちをすくい出せる。(詩によって震災という出来事が)人ごとでなく、『みんなのこと』になる」と語っていた。
親交のあった詩人のたかとう匡子さんは「戦後詩の中でも希有な叙情詩人。特に『鳥』や『愛について』などの初期作品は素晴らしい」と安水作品を評価。「この2年ほどはお会いする機会もなかったが、いらっしゃるだけで心丈夫だったのに」と惜しんだ。
神戸の詩史を研究する詩人の季村敏夫さんは「神戸詩人事件について聞くため、ご自宅に通い詰めたが、穏やかに笑って語られなかった時の横顔が印象深い。今後は安水さんの沈黙を僕らが引き継ぎ、切り開いていかねば」と語った。
本紙詩壇選者で兵庫県現代詩協会会長の時里二郎さんは「26冊もの詩集を残された中で、やはり印象に残るのは震災詩やそれを記録した詩文集。言葉をぎりぎりまでそぎ落とした独特の文体で、菅江真澄の旅を追った一連の詩集も戦後詩を彩る名詩集だ。大きな存在の詩人だっただけに喪失感も深い」と哀悼した。
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