太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた映画「島守の塔」(神戸新聞社など製作)が公開され、主人公の一人で沖縄県最後の官選知事・島田叡(1901~45年)に注目が集まる。絶望的な戦局の中、住民を守り抜こうと奮闘し、苦悩した姿が描かれる。だが県民の4人に1人が犠牲となった沖縄の人たちは、その人物像をどう捉えているのか。沖縄在住で兵庫とゆかりのある2人に聞いた。(津谷治英)
沖縄県糸満市の平和祈念公園に、映画の題名となった「島守の塔」が立つ。島田ら県職員の戦没者469柱をまつる。管理する「島守の会」理事の島袋愛子さん(74)=那覇市=は、語り部として、兵庫県など全国から修学旅行で訪れる中高生に沖縄戦を伝えてきた。
戦後の47年生まれ。本土復帰後は県職員として、遺族や傷病者を支援する援護課に勤務し、遺骨収集も担当した。
上司には戦時中、島田に仕えた人もいた。それが縁で島守の会に入会。養父の故・池間利秀さんが戦中、少年農兵隊を率いて農地を耕作しており、「父は県民の食糧増産のために汗を流した。台湾からコメを調達した島田さんの姿と重なった」と振り返る。
会が島田らの足跡を伝えるDVD制作を決め、作業中、終焉の地の手がかりとなる証言資料を見つけた。「島田さんは県民のために働き、亡くなった恩人。遺骨だけでも故郷に帰してあげたい」と思った。
夫とともに深いジャングルを歩き、洞窟に入った。島田の母校、兵庫県立兵庫高校(旧制神戸二中)のOBとともに捜索したことも。一向に見つからず、年々、発見の可能性は低くなる。
だが「多くの方が亡くなった森を歩くことで沖縄戦、島田さんを身近に感じる。戦争を若い世代に伝えるために、この場所の記憶を脳裏にとどめたい」。
◆
米軍上陸の地、沖縄県読谷村の住宅地で元高校教諭の富樫守さん(80)は暮らす。両親が沖縄出身だが、自身は神戸市兵庫区で生まれ育った。兵庫高校出身で島田の後輩に当たる。
幼少の頃は沖縄姓の「渡嘉敷」と名乗った。差別からわが子を守ろうとしたのか、両親が改姓した。その真相、自らのルーツを求めて、51年前の1971年に移住した。
翌72年、沖縄は本土に復帰したが、米軍基地は残った。基地撤廃を求める地元と、本土との温度差を感じた。今は名護市辺野古に建設されようとする新基地反対の運動に身を投じる。
20年ほど前、島田のことを初めて知った。島田は行政官として沖縄守備軍に協力し、当時の男子中学生の名簿を提出している。学徒戦闘員「鉄血勤皇隊」編成の一因になったとして、地元では不信感を抱く意見も根強い。
だが富樫さんは、その後の変化に着目。軍が司令部を放棄し、本島南部へ退却を決めた頃から「軍と距離を取り始める。住民が巻き込まれることを予想し、南部撤退に反対した。従順な司政官から一人の人間になった」とみる。
住民に「生きろ」と伝えた言動はその典型という。
「軍は最後まで県民に『生きろ』とは言っていない。その判断ができたのは、米国に関する知識をはじめ教養があったからだろう」
島田を偉人にすべきではないが、政府側の人間と捉えることも違和感があるという。「(明治政府が強制的に統合した)琉球処分から今の基地問題まで、日本政府が沖縄をどう扱ってきたか。島田さんが苦悩した背景には、それがある。若い人には島田さんの研究を通じ、沖縄の歴史を知ってほしい」と訴える。
◇
映画はキノシネマ神戸国際、MOVIXあまがさき、元町映画館などで公開中。
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