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回収後、メーカー別に選別された詰め替えパック(ライオン提供)
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回収後、メーカー別に選別された詰め替えパック(ライオン提供)
神戸市や日用品メーカーなどが取り組むプロジェクトで設置された回収ボックス=神戸市中央区雲井通7、コーヨー三宮店
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神戸市や日用品メーカーなどが取り組むプロジェクトで設置された回収ボックス=神戸市中央区雲井通7、コーヨー三宮店
神戸新聞NEXT
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 私たちの生活に身近な洗剤やシャンプーなど日用品の詰め替えパック。本体容器を使い捨てにしないエコ商品だが、使用後は大部分が焼却処分され、二酸化炭素(CO2)を排出している。脱炭素社会に向けて現状を変えようと、神戸市やメーカーが使用済みパックを回収し、再生するプロジェクトに挑戦している。(堀内達成)

 詰め替えパックは、本体容器よりもプラスチック使用量を7~8割削減できる。国内で販売される日用品の約8割を占め、世界で例がないほど浸透している。一方で、中身の液体や香りが漏れない強度を保つため、パックのフィルムはポリエチレンやアルミ、接着剤などが重なる多層構造になっていることから、リサイクルが難しいとされてきた。

 今回のプロジェクトでは、CO2削減につながる新たな技術を確立しようと、花王やアース製薬、ライオンなどの日用品メーカーをはじめ、製品を扱うドラッグストア、リサイクル業者ら19社が参加。回収品と同じ製品に再生する「水平リサイクル」を目指す。昨年10月から、神戸市内のスーパーなど75カ所に回収ボックスを設け、パックの分別回収を始めた。

 回収するパックは、メーカーや商品の種類を問わず、よく洗って乾かしてもらうよう呼び掛けている。今年4月末までに、約3万4千枚、580キロが集まり、和歌山県内にある花王の研究所で水平リサイクルの技術開発に活用している。

 今後、技術を確立し、実用化に向けたコスト削減のためには、回収量をさらに増やしていく必要があり、初年は年間5トンが目標。花王の担当者は「より多くの消費者に関心を持ってもらい、回収への協力をお願いしたい。2025年までの実用化を目指す」と話す。よりリサイクルしやすい詰め替えパックの素材や形状についての研究も進めるという。

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 今年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行され、プラ製品の製造、販売業者が自治体や消費者と協力して積極的に自主回収や再資源化をすることが盛り込まれた。神戸のプロジェクトは、その先駆的な事例の一つとして注目されている。

 水平リサイクルはおむつやブルーシート、食品トレーなどで取り組みが広がり、兵庫県内でも、加古川、高砂市、稲美、播磨町とサントリー食品インターナショナルが、家庭ごみとして回収したペットボトルの全量を再生する事業を進めている。

 元の製品とは別の製品に再生する一般的なリサイクルでは、異なるプラスチックなどが交ざり、最終的にごみとして燃やされてしまうため、CO2削減の観点からも水平リサイクルの普及が期待される。

 プロジェクトの旗振り役を務めるNPO法人「ごみじゃぱん」代表理事の石川雅紀(まさのぶ)・叡啓大特任教授は「回収分の7割程度の再生量になるが、従来よりも新たな資源の消費を抑え、同じ物を生み出すことができる。温室効果ガスの実質排出ゼロを目指す『カーボンニュートラル』の推進に貢献できる」と指摘する。

 詰め替えパックの回収場所は、プロジェクト「神戸プラスチックネクスト」のホームページで確認できる。

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