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国会議事堂(資料写真)=東京都千代田区永田町1
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国会議事堂(資料写真)=東京都千代田区永田町1

 選択肢は多かったが、投票先を決める判断材料に乏しい参院選だった。

 過去最多の13人が争った兵庫選挙区は、自民と公明、維新の現職が危なげなく議席を守ったが、各党とも公約実現の道筋をどこまで示すことができたか、疑問は残る。論戦の物足りなさは、5割ほどにとどまった投票率からも分かる。

 昨年10月に発足した岸田政権の中間評価とも位置付けられた。内閣支持率は一定の水準を保つが、自民は兵庫で目指したトップ当選の座を奪還できず、3年前の前回参院選の3番手から順位を一つ上げるのが精いっぱいだった。公明も自民推薦を得て組織戦を徹底したが、得票は前回選から5万票近く減らした。

 岸田文雄首相が言う「分配と成長の好循環」や「新しい資本主義」の具体像はまだ見えない。自民公約の「防衛費倍増」を巡っても、財源は不透明だった。「失点はないが、目立った得点もないのが今の政権」と自民県連幹部は言う。評価の物差しがなく、ひとまず現状維持を選んだ有権者も多かったのではないか。

 際立ったのが、昨年秋の衆院選で県内最多の比例票を得た維新の浸透ぶりだ。改革イメージが定着し、党勢が低迷する立民に代わって政権批判の受け皿になった。神戸新聞の出口調査では無党派層の3割を取り込んだが、自ら主張する「自民をぴりっとさせる野党」の役割を果たせなければ、すぐに期待はしぼむ。

 兵庫を含め、今回も改憲勢力が国会発議に必要な3分の2を維持した。協議を加速させる動きも予想されるが、国民の賛否は割れる。ムードに流されない、丁寧な議論を注視したい。(田中陽一)

参院選兵庫22選挙
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