7月10日投開票の参院選で、憲法を巡る議論が白熱している。きっかけとなったのはロシアによるウクライナへの軍事侵攻だ。当事国の憲法をみると、軍事侵攻前、ロシアは愛国主義的な条項を加え、大統領の権限を強化した。ウクライナも新たに北大西洋条約機構(NATO)に加盟する方針を明記していた。日本の憲法の在り方を考えるに当たり、両国の憲法と軍事侵攻について2人の専門家に聞いた。
ロシア連邦憲法は、ソ連解体後の1993年に制定された。大統領制、連邦制を取っており、大規模災害時や他国から侵略された場合などの「緊急事態条項」を明文化している。
ロシアは2020年、憲法を大きく修正した。「領土を割譲するための行為は許容されない」「祖国の防衛に関する人民の功績の意義を毀損することは許容されない」など愛国主義的な条項を取り入れ、国際法に対するロシア連邦憲法の優越性、大統領の権限強化などを盛り込んだ。
また、大統領の任期は連続2期までに制限していたが、プーチン大統領は次期大統領選に立候補できる例外規定が設けられた。
ロシア法が専門で、21年3月まで神戸大で教えた早稲田大法学学術院の渋谷謙次郎教授は「改正時点で、ウクライナへの侵攻を決断していたわけではないだろうが、プーチン時代になって西側諸国と対決色を強めた末の憲法改正。今回の軍事侵攻と無関係ではない」との見方を示す。
今回、ロシアに緊急事態条項は適用されていないが、当局は反戦デモに参加する市民を拘束するなど、憲法で保障される集会や言論の自由を制限している。今年3月下旬には刑法を改正し、ロシア軍の虚偽の情報を流した場合の処罰規定を設けた。
渋谷教授は「憲法は立派でも、その下の立法で骨抜きにされ、大統領の専制状態に近い」と指摘する。憲法が時の権力を抑止できていないとの見立てだ。
◇ ◇
ウクライナの憲法は96年に制定された。14年のロシアによるクリミア占領をきっかけに、中立的だったウクライナは欧州寄りに軸足を移し、19年の憲法改正で欧州連合(EU)とNATOに加盟する方針を明記した。今回の侵攻後、ロシアが停戦条件として要求した一つはNATO非加盟を確実にする改憲だった。
ウクライナ憲法にも緊急事態条項があり、軍事侵攻を受けて戒厳令を発した。憲法で認められている自由な出国の権利を制限し、労働力確保のために18~60歳の男性の出国を禁止した。メディアの統合などもされているという。
一方で、憲法は市民権の保障や生きる権利、請願権など緊急事態でも制約されない人権を定めている。ウクライナ研究会会長を務める神戸学院大の岡部芳彦教授は「政府が何でもできるようにするのではない。緊急時でも守らなければいけないことの明文化に意味がある」と強調する。
岡部教授によると、ウクライナの憲法制定以降の改正は8回。内容は大統領の権限強化や分権などで、一度改正されながら過去の規定に戻ったケースもあるといい、「日本も憲法を一度変えたらおしまいではなく、おかしなことがあれば消し去ることができるよう考えておくべきだ」と話す。
◇ ◇
参院選では各党が憲法を巡る公約を掲げる。自衛隊の明記や緊急事態条項の創設を目指す動きがみられる一方、条文の堅持を訴える声も聞かれる。国民の選択次第では、憲法改正も現実味を帯びる。(高田康夫)
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