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コロナ禍の前、来店客との記念撮影に応じる松平寿史さん(左)。かつては外国人観光客が絶えなかった=神戸市東灘区住吉宮町7(松平さん提供)
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コロナ禍の前、来店客との記念撮影に応じる松平寿史さん(左)。かつては外国人観光客が絶えなかった=神戸市東灘区住吉宮町7(松平さん提供)
コロナ禍の前、来店客との記念撮影に応じる松平寿史さん(中央奥)。かつては外国人観光客が絶えなかった=神戸市東灘区住吉宮町7(松平さん提供)
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コロナ禍の前、来店客との記念撮影に応じる松平寿史さん(中央奥)。かつては外国人観光客が絶えなかった=神戸市東灘区住吉宮町7(松平さん提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大で止まっていた外国人観光客の受け入れが6月10日、約2年ぶりに再開される。観光施設や飲食店は期待が大きいはず。そう思い、旅行口コミサイトで外国人観光客から人気の和食店「花里」(神戸市東灘区住吉宮町7)を訪ねると、店主からは意外にも「どうしたらいいのか」と不安の声が聞かれた。どういうことなのか。

 花里はJR住吉駅近くの小さな店だが、世界最大級の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で、神戸市内のレストラン5024軒のうち、神戸ビーフなどを扱う名店を抑えて1位になっている。

 客は欧州や南米、北米、中東など幅広く、ツアーや新婚旅行の夫婦、バックパッカーまでいた。九州を観光し、花里で夕食を取るために神戸に立ち寄り、大阪や京都で宿泊する客が多かったという。2019年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会時には、神戸で試合を行ったイングランド代表の選手らが連日訪れるなど外国人でいっぱいだったという。

 人気の理由は、料理のおいしさとともに、店主の松平寿史さん(59)の人柄。「10個の言葉を覚えれば会話は成立する」が信条の松平さん。予約が入った前日には寝ながら言葉を覚え、うまく発音できない言葉は手に書いて見せた。「おいしい?」「好き?嫌い?」など、冗談交じりに客と会話を重ねる。「5年ぐらいたてば、小学生レベルの読み書きはできるようになる」。各国の口コミサイトで書き込まれることが多くなり、いつの間にか外国人観光客が絶えない店になっていった。

 だが、外国人観光客が来たのは2020年2月が最後。それからの2年の間に、英語での接客に慣れた大学生アルバイトは大学を卒業して就職し、スタッフが減った。食材を仕入れてきた業者の倒産が相次ぐなど、物流形態も大きく変わった。

 そこに追い打ちをかけているのがロシアのウクライナ侵攻だ。全てのコストが上がっている。今年3月にまん延防止等重点措置が解除されて以降、日本人客は増えているが、アルバイトは募集しても集まらない。

 そんな中での受け入れ再開。「食材はそろうのか。スタッフはそろうのか。期待されているほどにクオリティーを保つことができるのか」。人気店だからこその悩みに、頭を抱える松平さん。「もう以前のようには戻ることができないんじゃないか」。新型コロナによるダメージはあまりにも大きい。(高田康夫)

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