神戸を拠点に、東日本大震災や熊本地震の被災地を訪れ、歌を届けるシンガー・ソングライターがいる。宮城県石巻市には震災から11年間で約80回訪れた。歌で寄り添い続ける原点とは-。(上田勇紀)
神戸市北区出身で、現在は同市中央区に住む石田裕之さん(41)。中学2年のときに阪神・淡路大震災を経験した。神戸大卒業後の2003年に音楽活動を開始。阪神・淡路の犠牲者を追悼する「神戸ルミナリエ」や、神戸まつりをテーマにした曲を作るなど、地元に根ざした活動を続けてきた。
▼女川の「桜坂」
11年3月11日、東日本大震災が起こる。父が兵庫県丹波篠山市出身で、市ふるさと大使を務めていた石田さんは5月、社会福祉協議会のボランティア活動に参加。バスで宮城県へ向かった。
津波にのまれた石巻市沿岸部で、被災家屋の泥かき作業をした。その日の夜。避難所になっていた女川町立体育館前で、歌う機会を得た。
「家族を亡くした人もいる。何て声を掛けるべきか分からなくて。歌おうとしたことを後悔した」と石田さん。集まった約30人を前に「神戸から歌いに来ました。何を歌えばいいか分からないので、教えてください」と語りかけ、人気曲集を手渡した。
ある女子中学生が、福山雅治さんの「桜坂」を希望した。この少女が前に出てきて歌うのに合わせ、石田さんはギターを伴奏して口ずさんだ。小さな男の子は「アンパンマンのマーチ」、漁師の男性は長渕剛さんの「とんぼ」。最後は全員で肩を組み、「上を向いて歩こう」を合唱した。
翌日は、避難所となった石巻市立小学校へ。同様に曲集を回したが、前日と雰囲気はまるで違っていた。静まりかえった体育館で石田さんが歌うと、ぼろぼろと涙を流して聞き入る人がいた。
「この2日間で、被災者の心は一面的に捉えられないと気づいた。よそ者が行くからこそ、出せる感情もある。音楽の力を感じた」と石田さんは振り返る。
▼「やっぺす●石巻」
その後、復興支援やコミュニティーづくりに取り組む石巻市のNPO法人「やっぺす」と交流を深め、同市の仮設住宅を何度も訪れた。そこで被災者の声をもとに作った歌が「やっぺす●石巻」。やっぺすは、現地の方言で「一緒にやりましょう」の意味。歌は「いつか元気を 返せる日まで 今日も笑顔でやっぺす」と締めくくる。
仮設住宅から復興住宅の集会所へ。訪れる場所は変わったが、発生から11年を迎えた今年3月11日も、石巻市でこの曲を歌った。同法人の戸田香代子さん(59)は「みんなの言葉を集めて、元気の出る歌を作ってくれた。11年間被災地を忘れずに、ずっと通ってくれて、癒やしを届けてくれる」と喜ぶ。
▼「被災の語り歌」
16年4月の熊本地震後は熊本県西原村を訪れ、現地の様子を歌詞に込めた曲を完成させた。地元・神戸では、長田区の地域交流拠点「ふたば学舎」の取り組みに参加。阪神・淡路大震災から20年となる15年に完成した「被災の語り歌」の作曲などに加わり、コンサートで歌った。学舎を運営するNPO法人職員で、企画した山住勝利さん(55)は「余韻が残る優しい歌声は、被災の記憶を伝えるのに適している」と話す。
石田さんは「音楽には心の日常を取り戻す力がある。これからも被災地で歌い続けたい」と前を向く。
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