27年前の阪神・淡路大震災で全壊し、再建されながら、一度も人が住んでいない家が神戸市灘区にある。震災後の混乱で工事が遅れたことをきっかけに発注者の男性(72)と大手住宅メーカーがトラブルになったが解決せず、家だけが宙に浮いてしまった。雑草が伸び、市から対応を求められるほど月日は過ぎたが、双方の主張は平行線をたどっている。(石沢菜々子)
震災時、男性は同市垂水区の母親宅にいて難を逃れたが、生まれ育った灘区の自宅が崩れた。男性は高齢の母親の生活を考え、駅に近い灘区の自宅跡にバリアフリー仕様の家を再建することを決めた。
震災から2カ月後の1995年3月中旬、男性は8月末に完成させる予定の建築工事の請負契約をメーカーと交わした。しかし、震災後の混乱が長引き、工事は予定より遅れた。男性とメーカー担当者がそろって、完成したとされる家を現地で確認したのは、96年3月のことだった。
普通なら、家は男性に引き渡され、新居での暮らしが始まる。だが、そうはならなかった。
男性は「96年1月になっても着工しなかったため、別のメーカーに依頼しようと担当者に契約解除を申し出たが、連絡がないまま工事が進められた」と主張。「家を建てた位置も注文と違う。頼んでいない家には住めない」として、引き渡しを拒んだという。
一方、メーカー側は「納期を95年11月に延期した上で、家は12月末に完成した」と説明する。担当者は「現地確認時に『雨戸の枚数が違うといった不具合は補修で対応する』と伝えたが拒まれた。契約解除の申し出はなかった」とする。
メーカー側は「実態として引き渡した」とし、根拠として、男性から最終金が支払われた▽鍵を渡した▽現地確認後、男性が追加工事をした-などを挙げた。
だが、「最終金」の入金は家が完成したとされる前の95年12月上旬。男性によると、渡された鍵も1本のみだった。96年4月に建物は男性を所有者として登記されたが、男性は「引き渡しを拒否したのに、メーカー側が勝手に登記した」と主張する。
メーカー側は「会社として男性の主張を聞いたのは、13年後の2009年になってから。鍵のやりとりなどを確認できる記録が残っておらず、鍵の取り換えを申し出た。勝手に登記するのはあり得ない」とする。
主張は折り合わないまま、男性は垂水区の別の家で暮らしながら、灘区の家の固定資産税の支払いを続け、神戸市の要請で雑草の駆除などの空き家対策にも追われる。
男性は代金の返還や損害賠償金、更地状態に戻すことなどを求めるが、メーカー側の担当者は「法外な要求には応じられない。話し合いで解決を目指したい」とする。
住宅トラブルに詳しい吉原清英弁護士は「引き渡し時のトラブルを防ぐため、通常は完成後、引き渡し前に最終金を支払う。裁判で建設の瑕疵や債務不履行を訴えるには、莫大なコストや時間がかかる。早い段階で専門家に相談すべきだ」と指摘する。
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