6434人が亡くなった阪神・淡路大震災から17日で丸27年となる。神戸・三宮の東遊園地では今年も、「1・17」をかたどった竹灯籠が、犠牲者を悼む人々を温かく照らす。神戸市長田区東尻池町2の末広大樹さん(28)も訪れ、亡き曽祖母に手を合わせる。「東遊園地の銘板は生きた証し。ばあちゃん、忘れてへんで」(井沢泰斗)
27年前、燃えさかる木造アパートを前に、大樹さんの母、真由美さん(55)はぼうぜんと立ち尽くした。アパートの中には、真由美さんを育ててくれた祖母、木原チエノさん=当時(78)=がいた。
真由美さんの母は幼少期に病死し、父は小学校卒業を前に家を出た。真由美さんは児童養護施設への入所を拒み、母方の祖母チエノさんが住む、阪神春日野道駅近くの古い木造アパートに転がり込んだ。
体は小さいけれど、パワフルなばあちゃん。若くして夫に先立たれ、裕福ではなかったが、真由美さんを娘のようにかわいがった。よくけんかもした。クラスメートの若い親と比べられるのが恥ずかしく、参観日や運動会は「来んといて」と突き放した。「わがままも言ったし、年頃の女の子は大変やったやろなあ」と真由美さんが振り返る。
結婚して近くの集合住宅に住んでからも、仕事が忙しい真由美さんに代わって大樹さんの面倒を毎日のように見てくれた。
150センチに満たない体で幼子をおんぶし、近所の人に「危ないで」と笑われながら、急なアパートの階段を上る祖母。「もう、えらいわあ」と口癖のようにぼやく姿がよみがえる。
「大樹、大樹って。ほんまにかわいかったんやと思う。この子が小学校に入るまで生きるのが、あの人の目標やったからね」
いつでも会えると思っていた祖母を突然、大震災が奪った。木造家屋が多く、道路幅の狭い一帯は火の海。消防車がたどり着けなかった祖母のアパートはあっという間に全焼した。
真由美さんは警察官と一緒に焼け跡を掘り起こし、チエノさんが着ていたパジャマの切れ端と、本人かも分からない骨片を持ち帰った。「なんでばあちゃん、こんな死に方なん?」。悲しみがこみ上げた。
◇
大樹さんが毎年1月17日、東遊園地を訪れるようになったのは12年ほど前から。母の真由美さんに、震災前日のことを聞いた。母はいつものように、2歳になろうとしていた大樹さんをチエノさん宅に預ける予定だったが、その日に限って「きょうはやめとき」と断った。写真も遺品もなく、顔も知らない曽祖母に命をもらった気がした。
真由美さんは「もっと恩返ししたかった、もっとおいしいものを食べさせたら良かった」と後悔ばかりだったが、毎年朝早くに家を出る息子の姿に「ばあちゃん、幸せやん」と思えるようになった。
大樹さんは昨年、神戸市内の建設会社に就職。道路に塗装で記号や指示を描く「路面標示施工技能士」の資格取得を目指している。
先輩に「地球がなくならない限り必要な仕事」と言われた。災害が多い時代。いつか地震があった時、役に立てると思う。
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