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震災発生直後から復旧、復興の過程を描いた竹中信清さんと絵画
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震災発生直後から復旧、復興の過程を描いた竹中信清さんと絵画

 毛布をかぶってぼうぜんとする人、倒壊した三宮のランドマーク、焼け野原になった町…。洋画家の竹中信清さん(80)は描き続けた。まるで何かにせかされているかのように。

 阪神・淡路大震災で、神戸市西区の自宅は激しく揺れた。約1時間の停電後、テレビに映ったのは燃える神戸の街。すぐ区役所にボランティアを申し出た。

 軽トラックで食糧や薬を避難所に運ぶ合間、筆を動かした。他府県の応援を得ながら、復旧に向けてもがく街に目をこらす。1枚描くのに20分ぐらい。長くて約1時間。何度も「何描いてるんや」と怒られた。

 「それは当然。でも、自分は絵描き。だから絵で残さないといけないと思った」。倒れた高速道路や曲がりくねった線路、がれきの中に置かれた花束などを題材に、地震発生から約1カ月半で80枚を描き上げた。

 被災地の状況を伝えようと、岡山や愛媛、広島県などを回って作品を展示。2000年、人と防災未来センターに寄贈した。

 震災後、「生きる」をテーマに創作を続ける。久々に震災の作品を前にし、「当時を思い出して胸がいっぱいになる」と遠くを見詰めた。(長嶺麻子)

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 震災の教訓を伝える人と防災未来センターが今春、開設20年を迎える。あの日の記憶を収蔵庫で見詰めた。

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