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収蔵庫に保管されている被災車両の貫通扉
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収蔵庫に保管されている被災車両の貫通扉

 「マルーン」という特有の色合いがストロボの光に浮かび上がった。1995年1月の阪神・淡路大震災で被災した阪急電鉄車両の貫通扉(正面ドア)だ。

 ここは人と防災未来センター(神戸市中央区脇浜海岸通1)の収蔵庫。被災者やボランティア、自治体などから寄せられた約19万点の資料を保管している。

 貫通扉は重さ約50キロ。震災が起きた日、伊丹駅に回送として止まっていた車両「3109」に使われていた。激震で、高架の駅は崩壊し、1階の交番で警察官1人が犠牲になった。車両は腰が折れるように駅とともに崩れ、廃車になった。

 不思議と貫通扉に大きな傷はなく、地震発生3カ月後の95年4月、同電鉄の車両部品セールで売れた。さらに複数の人の手に渡った後、京都府の鉄道愛好家の男性(40)の元へ。

 来歴を調べ、扉が被災したと知った男性は、かつて阪神・淡路の被災地に足を運んだ際、伊丹駅を見て「象徴になる物を残せないか」と感じたことを思い出した。2015年、同センターに寄贈を申し出た。

 時を経ても、色あせていない貫通扉。当時の空気を今もとどめ続けている。(鈴木雅之)

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 震災の教訓を伝える人と防災未来センターが今春、開設20年を迎える。あの日の記憶を収蔵庫で見詰めた。

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